セッション情報 パネルディスカッション7(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

IPMN新コンセンサス診療ガイドラインの検証

タイトル 消PD7-7:

分枝型IPMNの切除例から見た国際診療ガイドラインの検証

演者 山本 直樹(岡山大病院・消化器内科)
共同演者 加藤 博也(岡山大病院・消化器内科), 山本 和秀(岡山大病院・消化器内科)
抄録 【目的】分枝型IPMNの切除例の解析により新GLの問題点を検証し,造影EUSがそれらの解決に寄与するかどうか検討した.【方法】2003年10月から2012年11月に切除されたIPMN75症例中,分枝型IPMN35例(男:女 26:9,平均年齢67.1歳,IPMA:IPMC 21:14)を対象とし,新GLの切除基準における悪性診断率を評価した.造影EUSは結節を有するIPMN症例に対してSonazoidで造影を行った.結節と膵実質に関心領域を設定し,その造影効果をTime Intensity Curveで定量的に解析し,結節の造影パターンを良悪性間で比較検討した.【成績】新GLのうち,high-risk stigmataのみでの悪性診断における感度,特異度,正診率は,それぞれ42.9%,100%,77.1%であったが,worrisome featureからの切除基準を併用すると78.6%,57.1%,65.7%になり,併用することで感度は上昇するが,特異度が低下し,正診率としては低下した.この原因は「結節あり」を全て切除すると偽陽性が多くなることが問題点であった.結節に対する造影EUSでの定量的解析の結果,1)造影前後の結節の輝度上昇値,2)造影ピークから2分後の結節の輝度減衰率,3)結節の膵実質に対する輝度上昇値の比においていずれも有意に高値であり,悪性結節の造影パターンは,良性結節と比較して,有意に強く造影され,有意に強く減衰するという結果であった.それぞれの項目の感度,特異度,正診率は,1)80%,90%,85%,2)90%,90%,90%,3)90%,100%,95%であった.新GLに造影EUSの評価を加えて,悪性診断における感度,特異度,正診率を再検討すると,78.6%,80.9%,80%であり,正診率は上昇した.【結論】新GLでの切除基準では特異度が低く,偽陽性での切除が多いという従来からの問題点は解決できていなかった.結節を有するIPMN症例の良悪性の鑑別においては,造影EUSによる定量的解析は有用であり,新GLの偽陽性での切除を減らすことに寄与できる可能性が示唆された.
索引用語 IPMN, ガイドライン