セッション情報 パネルディスカッション7(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

IPMN新コンセンサス診療ガイドラインの検証

タイトル 消PD7-8:

通常型膵癌の早期診断における分枝型IPMNの経過観察の有用性

演者 飯星 知博(尾道総合病院・内視鏡センター)
共同演者 花田 敬士(尾道総合病院・内視鏡センター), 平野 巨通(尾道総合病院・内視鏡センター)
抄録 【目的】2012年にIPMN国際診療ガイドライン(GL)が改訂されたが,当院における分枝型IPMN症例と新旧GLの検討を行い,問題点および通常型膵癌の早期診断における有用性を明らかにする.【対象・方法】1999年5月から2011年3月までに当院で経験したIPMN症例214例中,ERCPを施行して膵管内に粘液の存在を認めた190例を分枝型IPMNと診断し,そのうち,嚢胞径25mm未満,主膵管径7mm未満,嚢胞内結節高4mm未満,膵液細胞診陰性を経過観察適応として,前向きに検討を行った.経過観察方法として,半年毎のMDCT,EUS,MRCPによる画像検査を用いた.【結果】分枝型IPMN症例190例中,旧GLに基づいて嚢胞径30mm以上の7例に手術を施行したが,全例腺腫であった.また,膵頭部癌(通常型)術後で,新GLに記載されている「嚢胞径20mm未満で年1回の経過観察」を行っていたが,IPMNと離れた部位に通常型膵癌の併存を認め,残膵全摘となった症例を1例認めた.通常型膵癌の併存は11例に認め,内7例はIPMN部位と通常型膵癌部位が離れていた.4例はIPMNと同時診断されたが,7例は18ヶ月~72ヶ月間の経過観察後に認めた.通常型膵癌の病理学的進行度(JPS)はstage 0:3例,I:2例,II:2例,IVa:2例,IVb:1例(1例は手術を拒否され,57ヶ月後に死亡)であった.【結論】1,旧GLで提示されていた嚢胞径30mm以上のIPMN症例は,今回の検討において全例腺腫であり,経過観察可能と思われた.2,新GLで提示されている経過観察期間では,併存する通常型膵癌の早期診断が困難な症例も認めており,期間の短縮を考慮する必要があると思われた.3,当院で経験した分枝型IPMN症例190例の経過観察中,通常型膵癌の併存を11例に認め,内7例はIPMN部位と離れており,定期的に膵全体を観察可能なEUS,MRCPなどのmodalityを用いて精査することが早期診断に重要と考えられた.
索引用語 IPMN, 通常型膵癌