セッション情報 |
パネルディスカッション7(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
IPMN新コンセンサス診療ガイドラインの検証
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タイトル |
内PD7-10:経過観察中のIPMNから発生した膵悪性腫瘍
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演者 |
河田 奈都子(大阪府立成人病センター) |
共同演者 |
上原 宏之(大阪府立成人病センター), 冨田 裕彦(大阪府立成人病センター) |
抄録 |
【目的】IPMNの経過観察中にはIPMNの癌化と通常型膵癌の発生に注意する必要がある.両者における経過中の画像所見の変化を比較する.【方法】対象は当院で定期的に経過観察されていたIPMNのうち膵悪性腫瘍が発生した28例.内訳はIPMCが8例(以下,IPMC群),浸潤癌が20例.浸潤癌のうち嚢胞と浸潤部が離れており通常型膵癌であることが明らかなものが6例(以下,通常型膵癌群),嚢胞と浸潤部が近接し浸潤性IPMNか通常型膵癌か不明であるものが14例(以下,浸潤性IPMNまたは通常型膵癌群).ただし,経過中の画像所見から嚢胞と離れて発生した浸潤癌であることが明らかな場合は通常型膵癌群に分類した.平均観察期間は56か月.各群における経過中の嚢胞・主膵管径の増大,結節の出現,CA19-9上昇の有無を比較した.【結果】初診時の肉眼分類は1例を除く全例が分枝型で,結節は全例で認めなかった.初診時の平均嚢胞径はIPMC群,浸潤性IPMNまたは通常型膵癌群,通常型膵癌群で各々16/18/33 mmで,10 mm未満/10-29 mm/30 mm以上に分類すると各々29/57/14%,22/64/14%,17/50/33%であった.癌の診断時の平均嚢胞径は各々26/24/37 mmで,10 mm未満/10-29 mm/30 mm以上に分類すると各々0/57/73%,7/64/29%,17/50/33%であった.経過中に10 mm以上の嚢胞径の増大を認めたのは各々57/29/17%,5mm以上の嚢胞径の増大を認めたのは各々57/57/33%であった.初診時の平均主膵管径は各々4.4/3.9/2.3 mmで,癌の診断時の平均主膵管径は各々7.0/4.7/2.7 mmであった.経過中に2 mm以上の主膵管径の増大を認めたのは各々43/21/0%であった.経過中に結節が出現したのはIPMC群の3例のみであった.経過中に嚢胞径5 mm以上の増大,主膵管径2 mm以上の増大,結節の出現のいずれかを認めたのは各々71/57/33%であった.経過中に10 U/ml以上のCA19-9の上昇を認めたのは各々0/50/50%であった.【結語】通常型膵癌はIPMNの癌化と異なり経過中の嚢胞・主膵管径の増大や結節の出現などのIPMN自体の変化が少ない症例からの発生が多かった. |
索引用語 |
IPMN, ガイドライン |