セッション情報 パネルディスカッション8(肝臓学会・消化器病学会合同)

高齢者・肝機能低下例に対するC型肝炎治療の適応と限界

タイトル 肝PD8-1:

高齢者C型慢性肝疾患の長期予後とウイルス排除の重要性

演者 小林 正宏(虎の門病院・肝臓センター)
共同演者 池田 健次(虎の門病院・肝臓センター), 熊田 博光(虎の門病院・肝臓センター)
抄録 【目的】近年人口の高齢化により肝疾患患者の高齢化も著しい.高齢者がC型慢性肝疾患を有することで,予後にどのような影響があるかを知ることは治療介入を判断する上で重要である.そこで今回は当院で1990年代に60歳以上の年齢で当院を受診した症例の長期予後を検討した.
【対象】1990年より2000年までに当院を受診したC型慢性肝疾患997例(慢性肝炎718例,肝硬変279例)を対象とした.内訳は男性53%,観察開始時の年齢の中央値が66(60-86)歳で観察期間の中央値は9.8(0.5-22.1)年であった.
【結果】慢性肝炎97例,肝硬変28例にIFN治療が実施され,SVRはそれぞれ33例(34%),9例(32%)であった.慢性肝炎症例の5年/10年の累積肝硬変進展率は全体で17/31%であり,IFN治療効果別ではSVR例からの肝硬変進展は認めず,非SVR, IFN未治療は同等であった.同様に5年/10年の発癌率も全体で9/20%であり,IFN治療効果別ではSVR例からの発癌は認めず,非SVR, IFN未治療は同等の発癌率であった.肝硬変からの発癌率は全体で44/61%であり,SVR例からも3例の発癌を認めた.生存に関する多変量解析でもSVRの達成は有意な独立要因であった(ハザード比14.7).全経過を観察できた790例で期間内に355例(44.9%)の死亡を認め,死因の内訳は肝癌34.4%,肝不全22.8%,消化管出血4.5%であり,この3原因を合わせた肝疾患関連死が61.7%を占めていた.慢性肝炎,肝硬変例で70歳から90歳までの各年齢における50%生存期間を厚生労働省が発行する生命表の平均余命と比較すると,肝疾患患者では男性が2.16±0.56歳(平均±SD),女性が2.75±0.67歳短い結果であった.
【まとめ】高齢者C型肝疾患ではウイルス排除をしない限り高率に肝硬変,肝癌へと進行し,肝疾患関連死の転帰をとる実態が明らかとなった.現在はribavirinやtelaprevirとIFNの併用によりSVRの頻度は高くなっているが,高齢者は線維か進展例化進展例が多くまた合併症などの理由で適応は限られる.予後改善のためには,IFNを必要としないDAA製剤のcombination治療の導入が望まれる.
索引用語 高齢者, 長期予後