セッション情報 パネルディスカッション8(肝臓学会・消化器病学会合同)

高齢者・肝機能低下例に対するC型肝炎治療の適応と限界

タイトル 肝PD8-4:

高齢者C型肝炎に対する抗ウイルス療法の現況と有用性 ―多施設共同研究―

演者 小瀬 嗣子(大阪大大学院・消化器内科学)
共同演者 平松 直樹(大阪大大学院・消化器内科学), 竹原 徹郎(大阪大大学院・消化器内科学)
抄録 [目的]高齢者C型肝炎患者は肝発癌の高リスク群であるが,Peg-IFN/RBV療法で治療効果が得られた症例では発癌抑制効果が認められる.今回,高齢者C型肝炎に対するPeg-IFN/RBV療法とTVR/Peg-IFN/RBV併用療法の治療効果を検討した.[方法] Peg-IFN/RBVを開始した高ウイルス量C型肝炎754例(1/2型=497/257例) (検討1),TVR/Peg-IFN/RBVを開始し治療開始後12週以上経過した1型高ウイルス量C型肝炎175例(男/女=97/78例,60.2±8.6歳) (検討2)における治療効果と安全性について検討した.[成績] 検討1. 55歳未満/55-59/60-64/65歳以上の副作用中止率は1型:7/8/15/21%,2型:5/6/7/14%,著効率(PP)は1型:62/54/60/39%(RGT),2型:87/85/82/76%であった.1型65歳以上における著効率(PP)には,治療開始4週時のHCV-RNA減少率(p<0.001)が関与し,1log未満/1-2/2-3/3-4/4log以上/陰性別の著効率は0/0/27/42/80/100%であった.検討2. 全症例における著効率(SVR12)は,ITT/PPで79%(81/102)/83%(71/86)であり,65歳未満では77%(50/65)/81%(46/57),65歳以上では86%(31/36)/89%(25/28)であった.著効には,前治療効果(p<0.01),RVRの有無(p<0.001)が有意に関与し,65歳以上/65歳未満の著効率は,初回投与例で86%(19/22)/86%(7/9),再燃例で88%(21/24)/90%(17/19),無効例で47%(8/17)/67%(4/6),RVR例で93%(38/44)/88%(21/23)とほぼ同等であった.一方,TVR中止率は65歳未満の20%(19/96)に比し65歳以上で40%(21/53)と有意に高率で(p<0.01),65歳以上においては体重当たりのTVR投与量が40mg/kg/day以上群において有意に高率であった(40以上/25~40/25未満:83%(5/6)/46%(13/28)/18%(2/11),p<0.05).皮疹は66%(82/120)に認め(Grade1/2/3:53/24/5),65歳以上かつTVR40mg/kg/day以上群においては40%にGrade2以上の皮疹を認めた.[結論]高齢者C型肝炎に対する抗ウイルス療法では,良好な著効率が得られる2型はPeg-IFN/RBVの良い適応である.1型は,忍容性が許せばTVR投与量に注意したTVR/Peg-IFN/RBVが適応となりうる.
索引用語 高齢者C型肝炎, TVR/Peg-IFN/RBV