セッション情報 パネルディスカッション8(肝臓学会・消化器病学会合同)

高齢者・肝機能低下例に対するC型肝炎治療の適応と限界

タイトル 肝PD8-6:

高齢者C型肝炎に対するテラプレビル併用インターフェロン治療効果向上のための工夫

演者 山本 義也(市立函館病院・消化器病センター)
共同演者 永坂 敦(市立札幌病院・消化器内科), 坂本 直哉(北海道大・消化器内科)
抄録 【目的】高齢者C型肝炎患者に対するインターフェロン療法は,副作用や合併症などが治療困難因子となる.今回,65歳以上の高齢者における1型高ウイルス量C型肝炎に対するペグインターフェロン/リバビリン(RBV)併用療法(PR療法),ならびにテラプレビル(TVR)併用療法の治療効果について非高齢者との比較検討を行った.【対象】研究参加施設で施行したPR療法322例(男/女150/172例,非高齢/高齢;252/70例)(検討1),およびTVR併用療法78例(男/女;34/44例,非高齢/高齢;60/18例)NORTE Study(検討2)を対象に治療関連因子の単変量,多変量解析を行った.【成績】(検討1)全体のSVRは45%,非高齢46%,高齢43%であった.高齢の治療効果はF因子,RBV投与量に関連し,F3以上高齢者のSVRは12%であった.(検討2)非高齢,高齢者はそれぞれ体重中央値63/56kg,Hb13.4/13.2g/dl,血小板数16.5/13.5x104 /μl,HCV RNA 6.7/6.5 LogIU/mlと有意差なし.Core70野生型はそれぞれ61/57%,IL28B major 74/62%であった.TVR1500mg減量開始は14/56%,RBVは52/72%で予定量から200mg減量して開始.4週時点でTVRの減量は,2250mg例で29/75%,1500mg例で13/30%と高齢者に多く,RBV4週アドヒアランス60%以上の症例は,高齢2250mgで50%と有意に低かった.治療中止は非高齢4例(7%),高齢2例(11%).早期抗ウイルス効果はRVR 81/69%,EVR 94/93%であり,SVR4は75/71%と同等であった.【結論】高齢者におけるTVR併用療法は,PR療法と異なりTVR,RBVの適切な用量設定調節により多くの症例で治療継続可能であり,非高齢者と同等の高い治療効果を得られることから,高齢者に対しても新規抗ウイルス治療を積極的に導入すべきと考えられる.
索引用語 C型肝炎, インターフェロン