セッション情報 パネルディスカッション8(肝臓学会・消化器病学会合同)

高齢者・肝機能低下例に対するC型肝炎治療の適応と限界

タイトル 肝PD8-7:

高齢者,肝線維化進展例に対する3剤併用療法(triple therapy)の治療成績と問題点

演者 小関 至(札幌厚生病院・3消化器科(肝臓科))
共同演者 髭 修平(札幌厚生病院・3消化器科(肝臓科)), 狩野 吉康(札幌厚生病院・3消化器科(肝臓科))
抄録 【目的】高齢者,肝線維化進展例に対するtriple therapyの治療成績と問題点を検討する.【対象と方法】Triple therapy を行ったC型慢性肝疾患65例{年齢中央値61(18-71)歳,男性36例 (55.4%),IL28B TT44例 (67.7%)}を対象とした.年齢65歳以上15例 (IL28Bminor47%, 前治療無効 (NVR) 18%),65歳未満50例(IL28Bminor28%, NVR 15%),肝線維化F2以下40例(IL28Bminor40%, NVR 15%),F3以上18例(IL28Bminor35%, NVR 24%)と2群に分類し,治療成績と薬剤アドヒアランス・血中濃度を検討した.血中濃度(ng/ml)はtelaprevir (TVR)ではLC-MS/MS法で治療1週時,Ribavirin (RBV)はHPLC法で,1,4週時の測定値を採用した.数値は平均値(標準偏差)で示した.【成績】 1) 年齢別―65歳未満/65歳以上のETRは88%/73%,SVR12は76%/57%であった.TVRの初期投与量(mg/kg)は30(4)/27 (6),アドヒアランス81%/69%,総投与量(mg/kg) 2071(529)/1512(519),減量例の割合52%/73%,中止率20%/53%,血中濃度2291(580)/2333(772), RBV初期投与量(mg/kg)は11(2)/10(1),アドヒアランス58%/49%,総投与量 (mg/kg) 1036(363)/622(366),減量例の割合89%/80%,中止例34%/53%,血中濃度は,1週1271(299)/1307(448),4週2558(808)/2033(657)であった.2) 線維化別―F2以下/F3以上のETRは88%/76%,SVR12は81%/53%であった.TVRの初期投与量(mg/kg)は31(6)/30(5),アドヒアランス78.9%/78.4%,総投与量 (mg/kg) 1890(431)/2134(568),減量例の割合60%/65%,中止例24%/24%,血中濃度2414(597)/2095(650), RBV初期投与量(mg/kg)は11(2)/10(2),アドヒアランス56%/54%,総投与量 (mg/kg) 956(377)/1020(384),減量例の割合90%/94%,中止例38%/53%,血中濃度は,1週1302(315)/ 1289(405),4週2497(2451)/2033(657)であった.【結語】65歳以上ではIL28Bminor例が多く,更に薬剤のアドヒアランス低下が加わり,F3以上の症例では前治療無効例が多く,さらにTVRとRBV血中濃度低下により治療成績が低下したものと考えられた.
索引用語 C型慢性肝炎, 3剤併用療法