セッション情報 パネルディスカッション8(肝臓学会・消化器病学会合同)

高齢者・肝機能低下例に対するC型肝炎治療の適応と限界

タイトル 肝PD8-8:

高齢者に対するC型慢性肝炎の3剤併用療法の工夫―効果と安全性に関する検討―

演者 大嶋 重敏(秋田大大学院・消化器内科学)
共同演者 小松 眞史(市立秋田総合病院・消化器・代謝内科), 後藤 隆(秋田大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】C型慢性肝炎に対する3剤併用療法の高齢者における治療効果と安全を検討し,さらに高齢者でも安全に施行するための工夫について検討した.【方法】秋田県において3剤併用療法を受け,解析可能なC型慢性肝炎患者143名を対象とし,65歳未満 (若齢群)と65歳以上 (高齢群)の背景因子,ウイルス消失率と副作用について検討し,また高齢者の本治療の安全性に寄与する因子について検討した.【成績】143例のうち,若齢群は94名 (男性55名,女性39名),高齢群は49名 (男性21名,女性28名)であった.前回のIFN治療歴,IL28BのSNP,Core70,91,NS5Aの遺伝子の配列等の背景因子に若齢群と高齢群で有意差は認められなかった.現時点で,全143名のうち,治療開始後24週まで経過を追えている症例は106例, 48週まで経過を追えた症例は54例であり,SVRは若齢群で70.0%, 高齢群で81.3%で両群に有意差は認められなかった.また,治療開始から4週後,24週後のウイルス消失率も両群で有意差は認められなかった.さらに,貧血,高尿酸血症・腎障害,食思不振・嘔気等の副作用の発現について若齢群と高齢群で有意差は認められなかった.皮膚病変については,若齢群で有意に高率であった.またTelaprevirを 1500mgで開始した群の方が,2250mgで開始した群に比して,貧血および,高尿酸血症・腎障害の副作用の発現率が有意に低かったにもかかわらず,SVR率には有意差が認められなかったが,Telaprevirを1500mgで開始した群が2250mgで開始した群に比して,有意に高齢であった.【結論】現段階では3剤併用療法は高齢者に対しても有効かつ安全に施行できることが考えられた.高齢者でTelaprevirを 1500mgで開始した症例が多かったことが,高齢者の3剤併用療法の安全性に寄与した可能性が考えられた.
索引用語 3剤併用療法, 高齢者