抄録 |
【目的】Telaprevir併用療法が困難な高齢者においては,発癌リスクを抑止するための治療が必要である.本研究では高齢者に対するinterferon(IFN)治療の発癌抑止効果を検討した.【方法】65歳以上のC型慢性肝炎に対して従来型IFN単独療法・PR併用療法を施行し非著効であった301例,および1年以上のPeg-IFN長期療法を施行した65例について,治療による発癌抑止効果を検討した.【成績】65歳以上の3/5/7年累積発癌率は4%/14%/25%と高率であった.抗ウイルス治療が非著効でも従来型IFN単独治療/PR併用療法により,治療開始前に>ALT 40 IU/Lの症例のうち39%/52%でALTが正常化し,治療開始前にAFP>10ng/ml症例のうち45%/51%でAFPが正常化した.治療終了後2/3/4/5年におけるALT正常値維持率は81%/76%/75%/74%,AFP正常値維持率は94%/93%/86%/87%であった.抗ウイルス治療が非著効でも,治療終了後24週時点のAFP<10ng/ml(HR 0.44, 95%CI 0.22-0.88, p=0.021),ALT <40IU/L(HR 0.41, 95%CI 0.21-0.83, p=0.012)で発癌リスクが有意に低下した.多変量解析では,AFPとALTは独立した発癌関連因子であった.Peg-IFN長期療法の対象者の3/5/7年累積発癌率は2%/3%/13%であった.66%の症例が治療前>ALT 40 IU/L,43%がAFP>10ng/mlであったが,Peg-IFN長期投与によりALT正常化が51%,AFP正常化が36%で得られた.治療中のALT正常化例で発癌リスクが有意に低下した(HR 0.26, 95%CI 0.07-0.97, p=0.044).【結論】Telaprevir併用療法が困難な高齢者でも,抗ウイルス治療によりALT,AFPを正常化すれば発癌リスクは減少する. |