セッション情報 パネルディスカッション8(肝臓学会・消化器病学会合同)

高齢者・肝機能低下例に対するC型肝炎治療の適応と限界

タイトル 肝PD8-12追:

血小板低下を伴ったあるいは肝癌発癌後のC型肝硬変症に対するPSE併用IFN療法の現状

演者 森 哲(大分大・1内科)
共同演者 本田 浩一(大分大・消化器内科), 清家 正隆(大分大附属病院・肝疾患相談センター)
抄録 【目的】我々は血小板低下を伴ったあるいは肝癌発癌後のC型肝硬変症患者に対しPSEを施行後にIFN治療を行っている.その治療効果,肝発癌,異所性再発などを検討し, PSE併用IFN療法の有用性と今後の展開を検討した.【対象と方法】当科において血小板数10万未満IFN治療を行ったC型肝硬変症例82例をPSE施行群28例と非施行群54例に分け以下の項目について検討した. 検討項目1) 背景の比較.2)IFNの治療効果の比較.3)発癌率の比較.4)PSE群のIL28-Bの検討. また血小板数10万未満,初発でミラノ基準内の肝細胞癌で根治的RFAを施行した45例の内,11例にPSE後IFN治療を施行した(PSE+IFN例).施行しなかった例(非PSE+IFN例)と異所性再発率を比較した.【結果】1)PSE群の血小板数が6.2±1.4 ,非PSE群が7.8±0.8でPSE群の方が有意に低くかった(P<0.0001).年齢,性別,ALT値,AFP値に有意な差はなかった.2) PSE群のSVR率35.7%.1b-highのSVR率23.8%,1b-high以外のSVR率71.4%.非PSE群のSVR率25.9%.1b-highのSVR率11.8% ,1b-high以外のSVR率52.6%.でPSE群の方が1b-highのSVR率は良好であったが有意差はなかった. 3) PSE群SVR,TRの累積発癌率は3,5年で8.3,8.3%,NRは26.7,51.1%でSVR,TRは有意に低かった(P=0.0254). 4)PSE群のIL28-B,TTは90%,TGが20%.TTのSVR率は33.3%,TR率は44.4%であった.【考察】PSE群は1b-high 症例で26.3%のSVRが得られ, 非PSE群の11.8%に比べ良好であった.またSVR,TRが得られれば発癌が少なかった. SVR,TRが得られれば発癌が抑えられることも確認された.ウイルス量,ウイルス型,遺伝子多型などを検討した上でPSE+IFNを考慮すべきと思われた.【結論】PSEは発癌前および発癌後のC型肝硬変症例に対するIFN治療における補助的手段として有用である.
索引用語 PSE, IFN