抄録 |
【目的】C型慢性肝炎に対するインターフェロン(IFN)治療は近年SVR率が良好となり,C型肝硬変症例でもIFN治療を導入することが多い.部分的脾動脈塞栓術(PSE)や脾摘により脾機能亢進の改善を図った後にIFN治療を行った症例について治療効果や有用性について検討した.【方法】組織学的,または血液検査所見や画像所見にて臨床的に肝硬変と診断し,IFN治療を行なったC型肝硬変症例49症例(男性30例,女性19例,平均年齢56±8歳,genotype1b・高ウイルス量:35例,genotype2a/2b:14例(うち高ウイルス量13例))をPSE(21例)・脾摘(3例)群24例と非施行群25例に分けて背景,治療成績について検討した.【結果】非PSE群ではIFN前血小板数10.4±2.4万であったのに対し,PSE/脾摘群では7.9±2.1万であったが施行後は17.3±6.5万に改善した.治療中止は13例(無効3例,副作用6例,発癌4例)であった.全症例でのETR率は55%(1b:46%, 2a/b:79%),SVR率は27%(1b:14%, 2a/b:57%)であった.12週までのPeg-IFNα2b投与量はPSE/脾摘群で1.36±0.17μg/kg/回,非施行群で1.18±0.26μg/kg/回であった.IFN投与量が予定の80%以上の症例はPSE/脾摘群で79%(19/24),非施行群で60%(15/25)であり,特に治療開始早期のIFN投与量に有意差がみられた.PSE/脾摘群のETR率は62.5%(1b:47%, 2a/b:100%),SVR率は37.5%(1b:23.5%, 2a/b:71%),非施行群のETR率は48%(1b:44%, 2a/b:57%),SVR率は16%(1b:6%, 2a/b:43%)とPSE/脾摘群の方がETR率,SVR率ともに良好であった.またSVR症例での1年後の血小板数は非PSE群で10.6±0.3万に対しPSE/脾摘群では18.1±3.5万と保たれていた.【考察】C型肝硬変症例のIFN治療においてはPSE/脾摘で脾機能亢進を改善することにより治療開始早期のIFNアドヒアランスが改善し,奏功率を上昇させると考えられた. |