セッション情報 パネルディスカッション8(肝臓学会・消化器病学会合同)

高齢者・肝機能低下例に対するC型肝炎治療の適応と限界

タイトル 消PD8-14追:

閉経後のC型慢性肝炎におけるPEG-IFNα-2a/RBV併用療法+Raloxifene hydrochlorideの有効性・安全性に関する検討(中間報告)

演者 野崎 昭人(横浜市立大市民総合医療センター・消化器病センター)
共同演者 奥瀬 千晃(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科), 田中 克明(横浜市立大市民総合医療センター・消化器病センター)
抄録 【背景】本邦でのPEG-IFNα2b+RBV併用療法では,特に女性・高齢者の有効性(SVR率)は低いとの報告が多い.我々は高齢者女性でのSVR率の低さは閉経によるエストロゲン受容体(ER)親和性の低下が原因の一因でないかと推測し,PEG-IFNα-2a+RBV併用療法に骨粗鬆症治療薬であるRaloxifene hydrochlorideを加えることで治療効果の上乗せ効果を検討する事とし,下記臨床試験をデザインした.
【方法】閉経後のC型慢性肝炎患者を対象とし,A群:8週までRaloxifene hydrochloride 60mg/日単独投与,その後,PEG-IFNα2a 90~180μg/週+RBV48~72週投与+ Raloxifene hydrochloride 60mg/日48~72 週投与.B群: PEG-IFNα2a 90~180μg/週+RBV48~72週投与を無作為に割り付けるプロトコールを作成した.各群,投与終了24週後のウィルス陰性化(SVR)率を主要評価項目とした.UMIN登録を2010年2月26日に行い,同意取得後随時治療を開始した.今回は,A群:10例,B群8例でのEVR率を中心とした中間解析を報告する.
【成績】患者背景は両群に有意差を認めなかった.EVR率は,A群:60.0%(6例/10例),B群:37.5%(3例/8例)で,A群においてB群より高い傾向を示した.HCV-RNA陰性化率経時的推移は,4週後:A群10.0%B群12.5% 8週後:A群40.0%B群12.5%(p=0.016)12週後:A群60.0%B群37.5%(p=0.045)で,8週,12週におけるウイルス陰性化率はA群で有意にB群より高かった.また,PEG-IFNα-2a+RBV併用療法開始前までのRaloxifene先行投与(8週間)による抗ウイルス効果は認められなかった.
【結論】今回の中間解析の結果より,RaloxifeneをPEG-IFNα-2a+RBV併用療法に追加投与する事により,閉経後C型肝炎に対する抗ウイルス効果が増強することが示され,今後の成果が期待される.
索引用語 Raloxifene, C型肝炎