セッション情報 パネルディスカッション8(肝臓学会・消化器病学会合同)

高齢者・肝機能低下例に対するC型肝炎治療の適応と限界

タイトル 肝PD8-15追:

PEG-IFNα-2a/RBV併用療法に対するビタミンD追加投与の検討

演者 高清水 眞二(東海大八王子病院・消化器内科)
共同演者 小嶋 清一郎(東海大八王子病院・消化器内科), 渡辺 勲史(東海大八王子病院・消化器内科)
抄録 【目的】標準療法(PEG/RBV)におけるビタミンD(VD)追加療法はPEG/RBV療法の有効性を上げることが報告されている.1型高ウィルス量のC型慢性肝炎に対する標準療法(PEG/RBV)では半数の症例でSVRが得られるが,加齢とともにSVR率が低下する.PEG-IFNα-2a/RBV併用療法へビタミンD(VD)を追加投与することで抗ウイルス効果が向上するか検証し,さらに血清25(OH)D濃度とIL-28Bの関与についても検討した.
【方法】対象は,1型高ウイルス量のC型肝炎で,天然型VD 400 IU/日+PEG-IFNα-2a/RBV併用療法を実施した29例(VD群)とPEG-IFNα-2a/RBVによる標準治療36例(SOC群)について,抗ウイルス効果を比較検討した.VD群,SOC群の患者背景はそれぞれ,年齢63±8, 61±11歳,Hb値は,13.9±1.3,14.2±1.5, 血小板数16.2 ±4.9, 17.2±4.3×104/μL ,HCV RNA量6.3 ±0.9, 6.5±0.5 Log IU/mLと両群間に有意差を認めなかった.
【成績】<VD群はSOC群と比較し,有意にSVR率が高かった(74% , 42%, p=0.024).特に,66歳以上(70% , 25%),Hb<13g/dL(100% , 33%),男性(88% , 44%),IL-28B major(92% , 50%)の症例でSVR率の向上が認められた.VD群でのSVR例は,投与前と比較し12週時の25(OH)D濃度が有意に上昇していた.また,12週時25(OH)D濃度が高齢者において,有意に高値であったため,VDが高齢者のSVR率向上に寄与した可能性が示唆された.IL-28B SNPsは,投与前ならびに12週時の血清25(OH)D濃度に影響がなかったことから,VD追加投与がIL-28Bと独立してSVR率向上に寄与したものと考えられた.
【結論】PEG-IFNα-2a/RBV併用療法に天然型VDを追加投与することによって,有意にSVR率が向上した.血清25(OH)D濃度の上昇がSVR率向上に寄与し,特に高齢者にて顕著であった.
索引用語 C型慢性肝炎, ビタミンD