セッション情報 |
パネルディスカッション8(肝臓学会・消化器病学会合同)
高齢者・肝機能低下例に対するC型肝炎治療の適応と限界
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タイトル |
消PD8-16追:分岐鎖アミノ酸亜鉛含有栄養補助食品の摂取によるインターフェロン治療への影響と効果
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演者 |
長尾 由実子(久留米大・消化器疾患情報) |
共同演者 |
川口 巧(久留米大・消化器疾患情報DELIMITER久留米大・消化器内科), 佐田 通夫(久留米大・消化器疾患情報DELIMITER久留米大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】C型慢性肝疾患患者の高齢化が進む中で,インターフェロン(IFN)治療を安全に提供することは難しくなっている.私どもは,低アルブミン血症が死亡に関わる因子であることを住民検診で証明した.一方で,分岐鎖アミノ酸亜鉛含有栄養補助食品(以下,本品)を摂取すると,肝予備能が改善されることも証明した.そこで,本課題では本品がIFN治療のアドヒアランスならびに治療効果にどのような影響を及ぼすのかをレトロスペクティブに検討した.【方法】対象は,2007年3月より2008年7月までの間に当院でIFN治療を受けた患者のうち,本品の効能と購入方法について説明が行われた全てのC型慢性肝疾患患者.本品を購入するかどうかは自由意志とした.本品を摂取した患者のうち摂取率が70%未満の患者は除外した.【成績】結果1(IFN標準治療):HCV駆除目的でIFN治療を受けた患者は37名であった.このうちIFN治療中に本品を摂取した患者(グループ1-A群)は24名,摂取しなかった患者(グループ1-B群)は13名であった.1-A群は1-B群に比べ有意に肥満が多かったが,良好なアドヒアランスを示した(完遂率 83.3% vs. 53.8%,p<0.05).治療効果に有意差はなかった.多変量解析にてIFN治療完遂に影響する因子は,本品摂取とSVRの2つであった(各オッズ 12.594,13.246).結果2(IFN少量長期療法):IFN少量長期療法を受けた患者は14名で,治療中に本品を摂取した患者(グループ2-A群)は11名,摂取しなかった患者(グループ2-B群)は3名であった.2-A群にのみ2例のSVR症例を認めた(C型肝硬変1例,B型&C型肝硬変1例). 【結論】本品の摂取は,IFN治療を受ける患者に対して良好なアドヒアランスと効果を示した.C型慢性肝疾患患者の高齢化や病態の進展,それに伴う医療費の圧迫といったわが国の医療が抱える課題に対して,本品の摂取は有用と考えられた(Virol J 2012).※当院倫理審査承認番号06046 |
索引用語 |
分岐鎖アミノ酸亜鉛含有栄養補助食品, インターフェロン治療 |