セッション情報 パネルディスカッション9(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

Barrett食道腺癌の診断と治療

タイトル 内PD9-7:

表在型バレット食道癌の扁平上皮下進展の臨床的検討

演者 大前 雅実(がん研有明病院・消化器内科)
共同演者 藤崎 順子(がん研有明病院・消化器内科), 山本 智理子(がん研究会がん研究所・病理部)
抄録 【はじめに】近年バレット食道癌はESDの症例報告も散見され早期発見が重要であるが,背景の食道炎のため範囲診断が困難なことがあり,中でも腺癌が扁平上皮下に進展し範囲診断を誤ることがあり,ESDの際切除断端が陽性となる因子になりうる.通常観察で扁平上皮化進展を示唆する所見は軽度の隆起性変化などが指摘されているが通常内視鏡診断が困難なことがある.【対象・方法】当院で手術,あるいはESDを施行した表在型バレット食道癌は54例58病変(M癌38例 SM癌20例)であった.これらの扁平上皮下進展例の臨床的検討を行った.【結果】扁平上皮下進展例は20病変(34%)(M癌11例 SM癌9例)で,浸潤距離は平均7mm(1-33mm)であった.扁平上皮下進展を認めた20病変と認めなかった28病変をレトロスぺクティブに通常内視鏡とNBI拡大像を比較すると,通常内視鏡で扁平上皮部分の軽度隆起が確認できた症例は8例(40%)であり,扁平上皮下進展の平均距離は10mm(3-33mm)であった.これに対して扁平上皮下進展のNBI拡大所見を,白色調の扁平上皮下に類円形の血管様の所見として認識すると全例にこの所見を確認することができた.【結語】当院の表在癌バレット食道癌58例中20病変(34%)に扁平上皮下進展を伴っていた.扁平上皮下進展の診断は通常視よりもNBI拡大が有効であり類円形の血管様の所見として認識可能であった.
索引用語 Barrett's cancer, NBI拡大