セッション情報 パネルディスカッション9(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

Barrett食道腺癌の診断と治療

タイトル 内PD9-8:

Barrett食道腺癌の内視鏡的特徴と内視鏡治療後の長期予後に関する検討

演者 小池 智幸(東北大・消化器病態学)
共同演者 中川 健一郎(東北大・消化器病態学), 飯島 克則(東北大・消化器病態学)
抄録 【目的】本邦において,Barrett食道腺癌に対する内視鏡治療後の長期経過を検討した報告は少ない.内視鏡治療を施行した深達度がSM1までの表在型Barrett食道腺癌の内視鏡的特徴と長期予後について明らかすること. 【方法】2001年8月から2012年6月に内視鏡治療を行い,6か月以上経過観察し得た表在型Barrett食道腺癌26症例26病変を対象とした.半年ごとに内視鏡検査を施行し,経過観察を行った. 【結果】患者背景は,平均年齢63.0歳,全例男性,平均BMI 22.9,飲酒歴 10例 (38.5%),喫煙歴 5例 (19.2%)であった.病変の肉眼型は,0-I 2例 (7.7%),0-IIa 11例 (42.3%),0-IIb 4例 (15.4%),0-IIc 8例 (30.8%),0-IIa+IIc 1例 (3.8%)で,色調は,発赤調が21例 (80.8%),存在部位は,0時~3時方向が19例 (73.1%)と多数を占めた.全例分化型 (tub1: 23例,tub2: 3例)で,深達度は“~LPM” 9例 (34.6%),MM 13例 (50.0%),SM1 4例 (15.4%)であった.EMRでは一括切除率 75%,完全一括切除率 62.5%であったのに対し,ESDでは一括切除率 100%,完全一括切除率 94.4%であった.観察期間(中央値45.5ヶ月,最長131か月) 中に背景粘膜がLSBEの症例から異所再発を1例 (3.8%)に認め,再発までの期間は25ヶ月であった.異所再発病変に対してはESDを施行した.他病死は2例 (7.7%)に認められたが,原病死は認められず,Kaplan-Meier methodを用いた内視鏡治療後60ヶ月時点のOverall survival rateは88.9%,Disease-free survival rateは85.2%,非再発率は95.8%であった.【結論】表在型Barrett食道癌の占拠部位は0~3時方向,発赤調を呈することが多い.治療法としてはESDが妥当と考えられ,その長期予後は良好であるが,LSBEを背景粘膜にもつ症例では異所再発に注意を要する.
索引用語 Barrett食道腺癌, 内視鏡治療