セッション情報 パネルディスカッション9(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

Barrett食道腺癌の診断と治療

タイトル 外PD9-9:

Barrett食道腺癌の転移形式と術式選択の検討

演者 成宮 孝祐(東京女子医大・消化器外科)
共同演者 太田 正穂(東京女子医大・消化器外科), 山本 雅一(東京女子医大・消化器外科)
抄録 近年,Barrett食道癌の増加が危惧され,治療方針につき検討されているが適正な郭清領域および発生母体であるBarrett上皮の切除の必要性について一定の見解が得られていないのが現状である.【目的】Barrett食道腺癌の転移形式より至適リンパ節郭清および術式選択について検討すること.【方法】1992年3月から2013年1月まで当科で治療されたBarrett食道癌31例(手術症例27例,内視鏡的切除4例)について(1).患者背景(2).治療方法(3).再発形式について検討した.【成績】(1)(平均年齢)66.3歳(33~90),(性別)男性:女性29:2,(Barrett食道径)SSBE/LSBE=23:8(平均腫瘍径)45.4mm(12-105)(病型)0-Is:0-Ip: 0-IIa: 0-IIc:0-III:1:2:3=1:7:3:4:3:1:3:8(深達度)T1a:T1b:T2:T3=9:6:4:8(Stage)Stage0:1:2:3:4=7:9:6:6:3 (脈管侵襲)ly(+):ly(-)=19:12,v(+):v(-)=12:19(リンパ節転移) N(-):N(+)=20:11 (組織型) 分化型:未分化型=24:7(2)手術症例:ESD=27:4(術式) 右開胸:左開胸:非開胸:開腹=5:14:2:6(リンパ節郭清領域=転移症例数/郭清症例数)頸部リンパ節1/4,上縦郭2/5,中縦郭3/12,下縦郭3/17,腹部10/27(転移症例の内訳)頸部,上,中,下縦郭リンパ節陽性例は腫瘍径が65mm以上と大きくすべて再発死亡しており郭清効率は低い.(LSBE8例の内訳)すべてBarrett上皮は切除されているため右開胸症例が多く縦郭リンパ節郭清症例が多いが6症例が生存中であり生存率とは関係なかった.(Barrett食道温存されたESD症例)観察期間は2~8年であるが再発は認めない(3)縦郭リンパ節転移:腹部リンパ節転移:肝臓転移:腹膜播種性転移=1:3:6:1【結論】Barrett食道癌はBarrett食道長径にかかわらず発生しており,通常の食道癌と同等な腫瘍の深達度,占居部位に応じた転移形式を示し,頸部縦郭リンパ節郭清効果は低く,遠隔リンパ節転移を有する症例にはneoadjuvantを考慮する必要がある.
索引用語 Barrett食道腺癌, リンパ節郭清効率