セッション情報 パネルディスカッション10(肝臓学会・消化器病学会合同)

肝癌サーベイランスにおけるバイオマーカーの再評価

タイトル 消PD10-4:

肝細胞癌における新規バイオマーカーとしてのマイクロRNAの意義

演者 富丸 慶人(大阪大大学院・消化器外科学)
共同演者 永野 浩昭(大阪大大学院・消化器外科学), 森 正樹(大阪大大学院・消化器外科学)
抄録 【はじめに】マイクロRNA(miR)は,20数塩基からなるnon-coording RNAであり,標的となる遺伝子発現を調節することで,発癌,癌の進展,悪性度に関わることが明らかになってきている.さらにmiRは癌組織から末梢血中に放出されるており,腫瘍マーカーとしての可能性も示唆されている.そこで,各種miRの中でも多くの癌種で発現上昇が報告されているmiR-21の肝細胞癌における臨床的意義について検討した.【方法】1)肝細胞癌切除10症例の術前,術後の血漿中miR-21を測定.2)肝細胞癌根治切除126症例(HCC)の術前血漿および切除標本の原発巣よりRNAを抽出しmiR-21を測定し,対照群として慢性肝炎症例(CH;30例),健常人(HV;50例)における血漿中のmiR-21発現量と比較した.3)HCC126例の血漿中miR-21発現により高発現群77例と低発現群49例に分類し,臨床病理学的因子および術後無再発生存率について検討した.4)肝細胞癌株(PLC/PRF/5,HepG2)にpre-miR-21の遺伝子導入を行い,標的遺伝子の発現変化と薬剤耐性について検討した.【結果】1)切除例では,切除後にmiR-21は著明に低下していた(p=0.0125).2)HCC126例の原発巣と末梢血中のmiR-21は有意に相関していた(r=0.407,p<0.0001).腫瘍マーカーとしてのmiR-21の意義については,HCC群とCH群の比較では感度が61.1%,特異度が86.7%で,HCC群とHV群の比較では感度が87.3%,特異度が96.0%であり,その識別能はAFPより優れていた.3)血漿miR-21高発現群では,低分化が53例(68.8%)と高率であったが,それ以外の背景・腫瘍因子に有意差を認めなかった.高発現群の1,3年無再発生存率は,55%,24%と低発現群の62%,48%と比較して不良であった.4)in vitroでは,pre-miR-21を遺伝子導入することで,PTEN,PDCD4の発現低下と5-FU,IFNに対する薬剤感受性の低下を認めた.【まとめ】肝細胞癌症例における末梢血中のmiR-21は癌の存在診断に有用であり,さらに生物学的悪性度および薬剤耐性に関与しており,新規バイオマーカーとしての可能性が示唆された.
索引用語 マイクロRNA, バイオマーカー