セッション情報 | パネルディスカッション10(肝臓学会・消化器病学会合同)肝癌サーベイランスにおけるバイオマーカーの再評価 |
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タイトル | 肝PD10-5:ミラノ基準内肝細胞癌症例における治療前後高感度AFP-L3分画と再発予後の検討 |
演者 | 田村 康(新潟大大学院・消化器内科学) |
共同演者 | 有井 滋樹(東京医歯大大学院・肝胆膵・総合外科学), 青柳 豊(新潟大大学院・消化器内科学) |
抄録 | 【目的】 AFP-L3分画は肝細胞癌(HCC)の診断・予後予測に用いられている.今回,ミラノ基準内HCC症例の治療前後の高感度AFP-L3分画と治療後再発予後の関係を解析検討したので報告する. 【方法】 肝炎等克服緊急対策研究事業「肝癌早期発見を目的とした分子マーカーおよび画像診断システムの開発」参加施設において,根治的治療を施行したミラノ基準内HCC症例414例(ラジオ波焼灼治療186例,肝切除228例)を対象に治療前,治療1ヵ月後のAFP,AFP-L3分画,PIVKAII(カットオフはそれぞれ20ng/ml,10%,40mAU/ml)と治療後再発予後の関係を評価した. 2年未満に再発した193例と無再発2年以上の115例について,治療前後のマーカー陽性症例数の変化を解析した. 【結果】 腫瘍マーカーの多寡と累積無再発生存率を比較した結果,治療前マーカーではAFP-L3陽性群のみ累積無再発生存の有意な低下を認めた(p = 0.024).一方,治療後測定マーカーではAFP,AFP-L3,PIVKAII陽性群にそれぞれ有意な低下を認めた(AFP, p = 0.009; AFP-L3・PIVKAII, p = 0.001).治療後再発予測因子をCox回帰モデルで解析した結果,治療後AFP-L3高値(p =0.002),治療後PIVKAII高値(p =0.004)が有意な因子であった. 治療前後のマーカー陽性症例数の変化を解析した結果,再発有無に関わらず,治療前に比較し治療後AFP,PIVKAII陽性割合は有意に低下した(再発例/無再発例:AFP, p =0.001/p =0.004; DCP, ;p<0.001/p<0.001).一方,再発例と無再発症例ともに,治療前後でのAFP-L3陽性割合に有意な変化は認めなかった.しかし,無再発症例では治療6,9ヶ月後のAFP-L3陽性割合は治療前に比し低下した. 【結論】 根治的治療を施行した症例では,治療前AFP-L3陽性例は有意に治療後無再発生存率が低かった.治療後1ヵ月後のAFP-L3分画は再発予測因子として有用であるがAFP-L3陽性が再発遺残を示さない場合もあるため,治療後経時的変化において,その低下を確認することが重要である. |
索引用語 | AFP-L3, AFP |