セッション情報 パネルディスカッション11(消化器外科学会・消化器病学会合同)

進行胃癌に対する集学的治療の標準化に向けて

タイトル 外PD11-2指:

根治切除可能な進行胃癌を対象とした術前Docetaxel/S-1併用補助化学療法の多施設共同phase II study(最終3年観察結果)

演者 沖 英次(九州大大学院・消化器・総合外科学)
共同演者 江見 泰徳(九州大大学院・消化器・総合外科学), 前原 喜彦(九州大大学院・消化器・総合外科学)
抄録 【背景】切除可能胃癌に対する術前化学療法の有用性は明らかではない.我々は,切除可能なStage III 進行胃癌の治療成績向上を目的としたbiweekly Docetaxel/S-1 併用療法の術前補助化学療法の多施設共同臨床第II 相試験を実施した.今回は試験終了3年経過後の予後が確定したので最終報告を行う.【方法】対象は,年齢20-8歳,PS0-1,経口摂取可能な,胃癌取り扱い規約12版による臨床病期IIIA,IIIB,(IV)胃癌症例とした.画像診断上は標準的D2手術で根治切除可能な症例であるが,審査腹腔鏡検査によるH0P0CY0の確認を登録上の必須条件とした.Docetaxel 35mg/m2 div day 1 & 15,S-1 80mg/m2 day 1-14 q4weeks を1コースとして手術前に2 コース施行し,根治的胃切除術を施行した.主要評価項目は病理学的奏効割合であり,副次評価項目はRECIST奏功割合,完遂割合,3年無再発生存割合,3年全生存率,有害事象発生割合などとした(UMIN000000875).【結果】2007年11 月から2009 年11 月までに47 例が登録された.背景因子として年齢中央値は63 歳,男/女:36/11,PS0/1:41/6,cStage IIIA/IIIB:31/16であった.根治切除症例は44 例93.6% であった.主要評価項目である病理学的奏効割合(中央判定Grade1b 以上) は22 例47% (90% CI, 34-60% ; p<0.0001)と判定された.これに対し,術前化学療法のRECIST 奏功割合は34% であった.確定した2 年,3年無再発生存割合は,53.9%, 49.3%であった.また,2年,3年全生存割合は69.6%, 55.1%であった.病理学的奏効を認めた症例ではDFS,OSともに良好であった.【結語】進行胃癌に対するBiweekly Docetaxel / S-1 併用術前補助化学療法は安全で有望な治療法であると考えられた.
索引用語 術前補助化学療法, 胃癌