セッション情報 パネルディスカッション11(消化器外科学会・消化器病学会合同)

進行胃癌に対する集学的治療の標準化に向けて

タイトル 外PD11-3:

根治切除可能な大型3型・4型進行胃癌に対する術前DCS療法の検討

演者 佐藤 勉(横浜市立大・外科治療学DELIMITER神奈川県立がんセンター・消化器外科)
共同演者 長谷川 慎一(横浜市立大・外科治療学), 利野 靖(横浜市立大・外科治療学)
抄録 【はじめに】高度進行胃癌に対する術前化学療法としてDCS療法(TS-1/CDDP/Docetaxel併用療法)の効果と安全性について検証するII相試験を2009年10月より開始した.【方法】大型3型,4型胃癌,またはBulkyN2のリンパ節転移症例を対象とし,全例審査腹腔鏡を施行.P0CY0を確認の後,2コースのDCS療法の後に胃切除術を施行,1年間のTS-1内服をprotocol治療に規定,組織学的効果をprimary end pointとした.【結果】術前診断で試験的確とされた21例の内,3例が審査腹腔鏡でP1と診断され,除外された.現在のentryはDCS療法を開始した18例で,17例が胃切除まで到達し1例は現在化学療法中である.2例が有害事象のため術前化学療法を1コースで中止し,治療完遂率は88.2%(15/17例)であった.1例はGr4の好中球減少,1例はGr3の食欲不振・血栓塞栓症であった.コース内のTS-1休薬,2コース目より投与量減量を要した症例は35.3%(6/17)であった.術前画像効果判定はPR:10例,SD:7例で奏効率64.7%であった.全例に根治切除が行われ,術後合併症は認めない.組織学的効果判定はGr2: 6例,Gr1b: 4例,Gr1a:6例で奏効率58.8%であった.観察期間中央値は23ヶ月で,2例に再発を認めた.【結語】DCS療法を用いた術前化学療法は毒性が強いが高い組織学的効果が期待できる.臨床試験を継続し効果,安全性に関して進行胃癌治療の一つの候補として検証したい.
索引用語 進行胃癌, DCS