セッション情報 パネルディスカッション11(消化器外科学会・消化器病学会合同)

進行胃癌に対する集学的治療の標準化に向けて

タイトル 外PD11-4:

進行胃癌に対する術前補助化学療法の2X2ランダム化phase II COMPASS trial:中止理由の詳細と早期解析結果

演者 吉川 貴己(神奈川県立がんセンター・消化器外科)
共同演者 田邊 和照(広島大病院・消化器外科), 坂本 純一(東海中央病院)
抄録 【背景】術前化学療法(NAC)は,薬剤のComplianceが高く注目されているが,至適なコース数/レジメンは明らかではない.【方法】cStage2の食道浸潤胃癌・大型3型・4型胃癌,cStage3胃癌,P1/CY1/N3/T4N2で根治切除可能なcStage4胃癌を対象に,NACとして,S-1+CDDP (SC)vs PTX+CDDP(PC),2コース vs 4コースの合計4群を比較する.SCは,小泉レジメン(S-1:80mg/m2で21日間投与,CDDP:60mg/m2で8日目投与)で,3週投与1週休薬とした.PCは1/8/15日目にPTX 80 mg/m2, CDDP 25mg/m2を投与する3週投与1週休薬のレジメンである.Primary endpointは3年生存割合,Secondary endpointsは病理学的奏功割合,R0切除割合,R0/R1切除割合,治療完遂割合,有害事象,5年生存割合である.本発表では,Key secondary endpointsとして,早期の有効性指標結果(すべて全登録例を分母として算出)とともに治療中止理由の詳細を報告する.【結果】2009年9月~2011年7月に83例が登録.A群(SC2コース,n=21),B群(SC4コース,n=20),C群(PC2コース,n=21),D群(PC4コース,n=21).背景因子に偏りなし.A群では19例(91%),B群では12例(60%),C群では21例(100%),D群では17例(81%)がNACを完遂した.化療中止理由は,A群で進行1例(1コース)/毒性1例(1コース),B群で進行3例(1コース2例,2コース1例)/毒性4例(2コース3例,3コース1例)/他1例(2コース),D群で進行1例(2コース)毒性3例(1コース1例,3コース1例).A群17例(81%),B群15例(75%),C群14例(67%),D群16例(76%)にR0切除を施行した.病理学的奏功割合は,A群43%,B群40%,C群29%,D群38%.病理学的CR割合は,A群0%,B群10%,C群0%,D群10%.【まとめ】病理学的奏効割合は2コース群と4コース群で変わらなかったが,病理学的CRは4コース群にのみ見られた.4コース群では腫瘍進行により中止した症例数が増加するが,更に2コース追加することで,原発巣の病理学的CRが高率に誘導される.
索引用語 胃癌, 術前補助化学療法