セッション情報 |
パネルディスカッション11(消化器外科学会・消化器病学会合同)
進行胃癌に対する集学的治療の標準化に向けて
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タイトル |
外PD11-8:腹膜播種を標的とした進行胃癌治療の展望 - 腹腔内反復化学療法の臨床的意義
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演者 |
北山 丈二(東京大・腫瘍外科) |
共同演者 |
石神 浩徳(東京大・腫瘍外科), 渡邉 聡明(東京大・腫瘍外科) |
抄録 |
【背景】腹膜播種は進行胃癌患者の予後を考える上で最も重要な課題の一つである.我々は播種を有する進行胃癌に対するS1+Paclitaxel(PTX) 経静脈・腹腔内併用療法(iv+ip)の有用性を報告してきた.今回,播種を標的とした進行胃癌に対する腹腔内化学療法の意義を考察する.【対象と方法】審査腹腔鏡によりP1またはCY1を確認した100例に対し,腹腔ポートを造設,S1 (80mg/day)+PTX iv(50mg/m2)+ ip(20mg/m2) を施行,腹水細胞診(CY)が陰性化,画像診断上明らかな非治癒因子を認めず,腹腔鏡により播種の縮小が確認できた症例に対し,開腹による胃切除を施行した.また,術中に肉眼的漿膜浸潤陽性(T4a)と判断され,P0CY0にてD2リンパ節郭清を伴う根治的胃切除を施行した17例に対してip-PTX(20~60mg/m2;レジメンは不定)を含めたアジュバント治療を施行した.【結果】播種を有する胃癌100例全体の生存期間中央値(MST)は23.6ヵ月であった.奏功が確認され胃切除を施行できた62例のMSTは34.5ヵ月で,組織学的grade1b以上の奏効が28例(43%)で確認された.また,化療前後でCYの変化を確認できた66例中62例(94%)でCYが陰性化した.アジュバントとしてip-PTXを含めた治療を施行したT4a症例17例では,観察期間中央値62か月で2例に肝再発を認めたが,他に再発は認めず3年無再発生存率90%であった.化学療法の毒性は,grade 3,4の白血球減少が30%程度に見られたが,非血液毒性は軽度であった.腹腔ポートに関する合併症は,感染,閉塞をそれぞれ数%に認めたが,重篤な合併症はなかった.また,S1+Oxaliplatin(SOX)にip-PTXを上乗せする第1相試験を施行したが,ip-PTXの推奨用量は40mg/m2であった.【結論】本レジメンは安全で腹膜病変とくにCYには対して高い有効性を持つ.腹腔ポートを用いたタキサン系抗癌剤の反復腹腔内投与は他の様々な全身化学療法と組み合わせることが可能であり,播種症例のみならず,腹膜再発高危険群の進行胃癌に対する術前術後の治療としても有用性が高い局所療法であると考えられた. |
索引用語 |
胃癌, 腹膜播種 |