セッション情報 |
パネルディスカッション12(消化器内視鏡学会)
内視鏡的乳頭切除術を巡る諸問題
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タイトル |
内PD12-4:当科における内視鏡的乳頭切除術の治療成績
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演者 |
辻 修二郎(東京医大・消化器内科) |
共同演者 |
糸井 隆夫(東京医大・消化器内科), 糸川 文英(東京医大・消化器内科) |
抄録 |
【背景と目的】乳頭部腫瘍における内視鏡的乳頭切除術(EP)は外科的治療に比し低侵襲かつ完全生検としての診断意義においても有用である. 実際,術前進展度評価としてのEUS,IDUSの診断能も万能ではなく,生検を含めた病理診断のばらつきや早期乳頭部癌の適応拡大などの課題が存在する.治療においては他のERCP関連手技同様,出血,膵炎,穿孔などの偶発症を100%防ぐことは困難であり十分なICを得た後に行っている.今回当科における術前検査,適応,方法および成績を検討した.【対象と方法】当科でこれまで経験したEP症例109例で男女比68:41,平均年齢は64.5歳(29-86歳),平均腫瘍径は16.2mm(6-35mm)を対象とした.以前は術前進展度評価にEUS,ERCP(IDUS)を行っていたが,最近ではEUSのみを行い,EPの適応を原則として腺腫で膵管胆管進展のないものとしている.方法はスパイラルスネアで把持しEndocut modeで切除する.膵炎,胆管炎予防に胆管と膵管にステントを留置するが,切除が浅く胆管・膵管の開口が不十分な際,先に膵管・胆管切開を加え,再狭窄予防に留意する.術後4日目まで連日,採血評価を行い,ステント抜去及び観察は原則1週間後とし8日目より食事を開始している.【結果】最終病理診断は腺腫78例,腺腫内癌13例,腺癌8例,hyperplasia7例,カルチノイド3例.早期偶発症は膵炎12例,うち1例で重症化し死亡した. 緊急内視鏡を要した術後出血例は18例,止血困難であった1例はIVRに移行した.胆管炎は2例,後腹膜穿孔は3例認めた.初回EP後の腫瘍の遺残は22例に認め21例で追加切除もしくはAPCにて追加治療,1例は外科切除を行った.長期予後では膵管狭窄3例,胆管狭窄2例認めた.また切除後リンパ管侵襲を認めた腺癌の1例で外科手術を希望されず3年後に局所再発を来した.【結語】EPが標準的治療法として確立するためは偶発症に対する十分なICのもと,適応,切除範囲,偶発症対策を含めて慎重に行われるべきである. |
索引用語 |
内視鏡的乳頭切除術, Endoscopic papillectomy |