セッション情報 |
パネルディスカッション12(消化器内視鏡学会)
内視鏡的乳頭切除術を巡る諸問題
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タイトル |
内PD12-5:十二指腸乳頭部腫瘍に対する20年間の内視鏡的切除成績
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演者 |
伊藤 彰浩(名古屋大大学院・消化器内科学) |
共同演者 |
廣岡 芳樹(名古屋大附属病院・光学医療診療部), 後藤 秀実(名古屋大大学院・消化器内科学DELIMITER名古屋大附属病院・光学医療診療部) |
抄録 |
【目的】自験例,過去20年間の十二指腸乳頭部腫瘍に対する内視鏡的切除成績につき検討した.【対象と方法】1993年9月から2013年1月までに内視鏡的乳頭切除術を施行した186例(男女比121:65,平均年齢64.8歳)を対象とした.胆膵管内進展を伴わない腺腫または早期癌(腺腫内癌)を適応とした.治療手技として,切開電流による一括切除を基本とし,当初は主として針付きスネアを,2004年3月より硬い単線スネアを用いた.膵炎対策として,1997年8月以降は膵管ステント留置を基本とし,出血対策として,2004年7月からクリッピングを開始した.術前にはERCPを施行し,全ての手技を同一の術者が実施した.また,術後のセカンドルックは術後2日目に行い,問題なければ術後3日目より経口摂取を開始し,術後7日目と14日目に内視鏡観察を行った後,経過良好であれば術後16-17日目の退院とした.1)最終診断,2)腺腫+癌の切除成績,3)他の腫瘍の切除成績,4)偶発症,5)長期予後について検討した.【成績】1)術前診断は,癌30例,腺腫144例,gangliocytic paraganglioma(GP)3例,GP疑い2例,その他7例,最終診断は,癌59例,腺腫117例,GP5例,その他5例であった.また,癌+腺腫176例には適応拡大39例が含まれた.2)適応例(137例)の完全切除率は,癌:71.4%,腺腫:79.2%,全体:77.4%で,腫瘍の陰性化は98.3%に得られた.3)GP5例中2例を完全切除しえ,残り3例にも遺残を認めなかった.4)術後膵炎は3.8%に認めたが,膵管ステント導入(前50%(3/6),後2.2%(4/180))により著明に減少した.クリッピングの導入により切除時の出血および後出血のコントロールが改善した.3例に穿孔を認めたが,全例保存的に改善した.5)腫瘍陰性化を得たと判断した173例中17例に遺残再発を認め,うち3例(すべて癌)を外科的に切除した.GP例はすべて遺残再発を認めなかった.【結論】適切な適応かつ方法による内視鏡的乳頭切除術は乳頭部腫瘍の安全かつ確実な治療法と評価できる. |
索引用語 |
十二指腸乳頭部腫瘍, 内視鏡的乳頭切除術 |