セッション情報 パネルディスカッション12(消化器内視鏡学会)

内視鏡的乳頭切除術を巡る諸問題

タイトル 内PD12-6:

十二指腸乳頭部腫瘍に対する周囲粘膜切開併用EPの有用性の検討

演者 小川 竜(大分大附属病院・消化器内科)
共同演者 兒玉 雅明(大分大附属病院・消化器内科), 村上 和成(大分大附属病院・消化器内科)
抄録 【目的】内視鏡的乳頭切除術(Endoscopic papillectomy;EP)は現段階ではtotal biopsy的な意味合いが強く,詳細な病理診断を行うためにも,一括でより正確に病変を切除する必要性が高いと考える.当科においても,十二指腸乳頭部腫瘍に対しEPを施行しており,さらに近年では周囲粘膜切開併用EMRによるEPを施行している.その有用性につき検討する.【方法】EPの適応は,内視鏡的に十二指腸腫瘍を疑い,生検にて原則として悪性でなく,術前の各種画像検査にて,周囲リンパ節の腫大や胆管・膵管への浸潤がない病変とした.1998年4月から2012年10月までに当科およびその関連病院にて施行したEP36症例を対象とした.さらに従来通りのEP(EP群)33例と,周囲粘膜切開併用EMRによるEP(C-EMR群)3例について,治療成績や切除断端の病理組織学的検討を行った.【結果】男女比は22/14で,平均年齢は67.9歳であった.EP群33例においては19例がadenomaで,9例がcarcinomaであった.6例(18%)に断端陽性の症例が存在した.一方,C-EMR群3例においてはすべてadenomaであった.3例すべてで深部・側方断端ともに陰性であった.EP群,C-EMR群の病理標本を比較すると,C-EMR群でより十分なSafety marginを確保できており,より深い層で切除できているのが確認できた.偶発症に関しては,EP群で後出血を4例,軽症膵炎を2例に認め,C-EMR群で後出血を1例に認めた.【結語】周囲粘膜切開併用EMRによるEPは,病変のsafety marginを確実に確保でき,より深部で切除できる可能性がある.それにより,正確な病理診断を行うことができ,治療方針決定に有用であると考える.
索引用語 内視鏡的乳頭切除術, 周囲粘膜切開併用EMR