セッション情報 パネルディスカッション12(消化器内視鏡学会)

内視鏡的乳頭切除術を巡る諸問題

タイトル 内PD12-8:

スコープヘッド・バルーン圧迫止血法と切開波による安全なパピレクトミー

演者 隅田 頼信(国立九州医療センター・消化器内科DELIMITER国立九州医療センター・臨床研究センター)
共同演者 河邉 顕(国立九州医療センター・消化器内科DELIMITER国立九州医療センター・臨床研究センター), 原田 直彦(国立九州医療センター・消化器内科DELIMITER国立九州医療センター・臨床研究センター)
抄録 【目的】内視鏡的乳頭切除術(Endoscopic papillectomy:以下EP)において出血と膵炎対策は重要である.EP直後,動脈性出血を経験することも希ではなく,速やかに膵管ステント留置に移行するために確実な止血方法が求められる.そこで,我々は,EP後出血に対してバルーンとスコープヘッドを利用した圧迫止血法を考案したので,その成績を報告する.【方法】膵へのダメージを考慮し切除面の熱変性,挫滅が少ないAuto cut mode(切開波)を選択してスネアによる一括切除後,膵炎予防のために膵管ステントを留置した.EP後,出血時には,スコープヘッド・バルーン圧迫止血法を試みた.本法は,結石除去用バルーンを出血点とスコープヘッドの間に挟み込む様に固定し,バルーン越しに切除後潰瘍を視認しながら位置調節した.バルーンはスコープのアップとプルバックの協調操作で出血部に保持可能となる.十二指腸下行脚は後腹膜に固定されているため本法によって十分な圧迫止血効果が期待できる.【結果】2005年4月から2013年3月に当院と当院関連施設にてEPを施行した30例(年齢中央値68歳, 男女比19:11)のうち,動脈性出血をきたしたのは12例(術直後出血8例,後出血4例)であった.切除直後出血8例すべてにおいて3回(3-6分)までの圧迫で止血が得られ,引き続き行った膵胆管ステント留置への影響はなかった.後出血例も全例1回の圧迫で止血が得られた.再出血は後出血例で2例認めたが,再度本法で止血し得た.【結論】EP後出血に対するバルーン圧迫は簡便で有用な方法であった.今後さらなる症例集積が必要であるが,本法により術後出血対策が容易になればEPはより安全な治療法となることが期待される.
索引用語 内視鏡的乳頭部切除術, 止血法