セッション情報 |
パネルディスカッション12(消化器内視鏡学会)
内視鏡的乳頭切除術を巡る諸問題
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タイトル |
内PD12-10追:内視鏡的乳頭部切除術の有用性と問題点
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演者 |
山尾 拓史(佐世保市立総合病院・消化器科) |
共同演者 |
大仁田 賢(長崎大病院・消化器内科), 中尾 一彦(長崎大病院・消化器内科) |
抄録 |
内視鏡的乳頭部切除術(Endoscopic papillectomy:以下EP)は外科的治療に比べ低侵襲的で有用な治療法であり有用性に関する報告が増加している.適応決定のための診断と治療手技,偶発症,合併症に対する対策,遺残・再発例に対する対処について検討した.【適応】術前腺種または腺腫内癌で各種画像診断にて胆膵管内に進展を認めず,乳頭部に限局した腫瘍.【対象と方法】2001年1月から2013年3月までにEPを施行した58例.男女比31:27,平均年齢65.7歳(34-89歳),方法は高周波切開電流使用10例,Endo cut(切開120W,凝固30W)48例.膵炎,胆管炎予防のため膵管・胆管ステントを留置した.後出血の予防と出血に対しクリップ,APCにて処置を行なった.【結果】最終病理診断は腺腫33/58例(57%),高分化型腺癌15/58例(26%),他は炎症性ポリープ3例,異所性膵6例,過形成性ポリープ1例であった.完全切除は48/58例(82.8%),不完全切除となった10/58例(17.2%)のうち8例は生検で腫瘍陰性であり焼灼効果による判定困難例であった.EP後生検で腫瘍陽性となった2例に対し,腺腫例に追加EP.腺癌例に追加外科切除術を行なった.膵炎予防に5Fr42例,7Fr15例の膵管ステント57/58例を留置.胆管炎予防に7Fr46例,8.5Fr5例の胆管ステント51/58例を留置.ステント留置期間は平均7.4日間.絶食期間は平均3.3日間であった.早期合併症は急性膵炎を3/58例(5.2%),貧血4/58例(6.9%),胆管狭窄1/58例(1.7%)に認めたがいずれも保存的治療で改善した.EP直後の拡張血管に予防止血(APC)を行ない後出血の頻度が低下した.後期合併症は閉塞性胆管炎を2例認めたが胆管ステント留置で改善した.術後内視鏡は7日目,1・3・6ヶ月,以後は1年間隔とした.3年目に再発を1例に認め,腺腫の診断でEPを施行した.【結論】乳頭部腫瘍に対するEPは低侵襲で安全な治療法であると思われた.安全かつ確実なEPを行なうためには正確な術前進展度診断と,治療後の十分な偶発症対策(ステント留置,予防を含む止血処置),定期観察が必要と思われた. |
索引用語 |
十二指腸乳頭部腫瘍, 内視鏡的乳頭切除術 |