セッション情報 パネルディスカッション13(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)

進行肝癌に対する集学的治療の標準化に向けて

タイトル 外PD13-4追指:

門脈腫瘍栓を伴う進行肝細胞癌に対する治療戦略

演者 調 憲(九州大大学院・消化器・総合外科学)
共同演者 的野 る美(九州大大学院・消化器・総合外科学), 前原 喜彦(九州大大学院・消化器・総合外科学)
抄録 【目的】門脈腫瘍栓を伴う進行肝細胞癌(HCC)の治療成績は未だ不良である.これらの症例が長期生存するための条件と治療戦略を明らかにし,治療の標準化を図る目的で以下の解析を行った.【対象】Vp3以上の門脈腫瘍栓を伴う肝切除30例.肝切除は肝葉切除と腫瘍栓摘出を基本とした.【方法】検討I:術後5年以上生存の5例と5年未満の25例で術前の予後規定因子を比較検討した.検討II:術後再発に対する治療戦略を明らかにする目的で5年生存例と5年未満生存例を再発の因子について比較検討した.【結果】検討I: 30例の1年,3年,5年生存率はそれぞれ62%,24%,17%であった.長期生存群は,短期生存群に比し,有意に術前PIVKA 2値が低く(4240mAU/ml vs 1210mAU/ml, P<0.01),全例治癒切除症例(治癒切除率:56% vs 100%, P=0.129)であった.さらに腫瘍径5cm以下かつ腫瘍数3個以下で成績は良好であった (p<0.05).術前肝機能に差を認めなかった.検討II:長期生存群においても4例に術後早期に再発を認めたが,初回再発時,他臓器を含め3か所以内の再発が3例に認め,3例は肺,骨の切除を含めた局所療法を行った.一方,短期生存例では肝内多発再発を13例に認め,肝動脈化学療法を中心とした治療が行われていた.【まとめ】門脈腫瘍栓をともなう進行肝細胞癌の5年以上の長期生存例はPIVKA 2低値の治癒切除例であった.再発制御に関しては再発に対して完全なコントロールを目指して切除を主体とした局所療法を行うことで長期生存を得られる症例がある.
索引用語 肝細胞癌, 門脈腫瘍栓