セッション情報 パネルディスカッション13(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)

進行肝癌に対する集学的治療の標準化に向けて

タイトル 肝PD13-5:

肝内高度進行肝細胞癌に対するIFN併用5-FU持続肝動注化学療法に関する検討

演者 山下 竜也(金沢大附属病院・消化器内科)
共同演者 寺島 健志(金沢大附属病院・消化器内科), 金子 周一(金沢大附属病院・消化器内科)
抄録 【目的】当科で2003年より肝内進行肝細胞癌に対して行ってきたIFN併用5-FU持続肝動注化学療法について検討した.【対象】対象は2003年から2012年まで当科にてIFN併用5-FU持続肝動注化学療法にて加療した肝内進行肝細胞癌症例294例.治療法は5-FU 300mg/m2/dayをインフューザーにて5日間持続動注し(day1-5, day8-12), IFNα-2b 3MIU/body週3回またはPEG-IFNα-2b 1.0μg/kg週1回投与を4週間継続した. CDDP併用はCDDP 20mg/m2/day またはDDP-H 18.8mg/m2/dayをday1,8に肝動注した.奏効率,全生存期間,無増悪生存期間,奏効因子および予後因子を検討した.治療効果判定にはRECIST1.0ガイドラインを用いた. 【結果】 対象は年齢66歳,男性79%,HCV陽性53%,PS0 80%,Child-Pugh分類はA45%,B44%,C11%, 初発31%, 主要脈管侵襲36%, 肝外病変25%であった.治療にCDDPを併用した症例は69%であった.全体の奏効率は26%, 腫瘍制御率は58%であった.全症例のOSは11.8ヵ月,PFSはが4.1ヵ月, TTFは3.3ヵ月. CDDP併用の有無で奏効率(28% vs. 23%, p=0.38)およびOS(12.4ヵ月 vs. 10.1ヵ月,p=0.37)に有意差はみられなかった.またIFNの種類別でも奏効率およびOSに有意差はみられなかった.奏効例のOSは,34.7ヶ月と非奏効の7.6ヶ月に比較し有意に延長していた(p<0.0001).奏効因子として多変量解析にてAlb3.5g/dL以上, 主要脈管侵襲なし, 肝外病変なしが挙げられた.予後因子として多変量解析にてPS0,T.Bil 2.0mg/dL未満,Alb 3.5g/dL以上,腫瘍径5cm未満,肝外病変なしが挙げられた.Child-Pugh分類別の奏効率はA 36%, B 21%, C 9%であり,OSはA 16.6ヵ月,B 6.5ヵ月, C 3.2ヵ月であった. 【結語】肝内進行肝細胞癌に対するIFN併用5-FU持続肝動注化学療法は,奏効が期待でき,奏効例で生存期間は著明に延長していた.Child-Pugh分類A症例で奏効率とOSもより良好であり,肝内進行肝細胞癌に対する内科的治療に重要な役割を担うため,肝外病変や腫瘍径,脈管侵襲といった奏効因子と予後因子を考慮してその適応を考慮する必要がある.
索引用語 肝細胞癌, 肝動注化学療法