セッション情報 | パネルディスカッション13(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)進行肝癌に対する集学的治療の標準化に向けて |
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タイトル | 肝PD13-9追:進行肝癌集学的治療における画像検査とバイオマーカーの意義~分子標的薬不応例の早期診断や著効例での肝切除検討の判断~ |
演者 | 土谷 薫(武蔵野赤十字病院・消化器科) |
共同演者 | 安井 豊(武蔵野赤十字病院・消化器科), 泉 並木(武蔵野赤十字病院・消化器科) |
抄録 | 【目的】肝切除・RFA・TACE非適応進行肝癌の治療は分子標的薬・肝動注療法などが選択されるが治療法選択や変更時期,down staging達成例での肝切除検討についてのエビデンスは存在しない.今回分子標的薬治療中の画像所見とバイオマーカーの変動を検討し進行肝癌の集学的治療戦略について考察した. 【方法】2009年7月から2013年2月までソラフェニブを導入した進行肝癌127例を対象とした.治療開始前および4週間毎にAFP・PIVKA-II・plasma VEGFを測定し,4週間後および8-12週毎の造影CTをmodified RECIST基準で評価した.生存率はKaplan-Meier法で,生存に寄与する因子はCox比例ハザードモデルで検討した. 【成績】平均年齢は70歳,男性101例・女性26例,前治療あり101例・前治療なし26例,VP3あり25例・VP3なし102例,遠隔転移あり37例・遠隔転移なし90例,開始用量800mg/日60例・400mg/日以下67例であった.内服期間の中央値は4.1ヶ月・MSTは13.7ヶ月であった.生存寄与因子の単変量解析では治療前VP3なし・治療開始後4週画像判定non-PD ・8週でのplasma VEGF減少・治療開始後24週画像判定non-PD・全経過中plasma VEGF増加1.5倍以内が有意な因子であり,多変量解析では経過中plasma VEGF増加1.5倍以内が唯一の独立因子であった(OR5.73, 95%CI 2.34-14.0, p=0.0001).分子標的薬導入後肝切除施行例は4例存在し,1例がPR後残存病変切除・1例がPD後動注療法でPRとなり残存病変切除・2例が標的病変PDだが新病変なく標的病変切除を施行した.4例は経過中VEGF増加1.5倍以内であり全例生存中である(生存期間中央値24.0ヶ月). 【結論】分子標的薬導入4週後画像検査で新病変や門脈腫瘍栓増悪を認める症例では他治療への変更が検討されるべきである.経過中plasma VEGF 増加1.5倍以内でdown stagingが得られた症例または新病変出現のない症例であれば肝切除を検討する.分子標的薬投与中のplasma VEGF推移は生存と関連しておりバイオマーカーとして有用である. |
索引用語 | 肝細胞癌, 分子標的薬 |