セッション情報 |
パネルディスカッション14(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)
大腸癌肝転移に対する集学的治療の標準化へ向けて
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タイトル |
外PD14-1:大腸癌肝転移に対する術後補助化学療法がもたらすものとは?
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演者 |
大場 大(東京大附属病院・肝胆膵・人工臓器移植外科) |
共同演者 |
長谷川 潔(東京大附属病院・肝胆膵・人工臓器移植外科), 國土 典宏(東京大附属病院・肝胆膵・人工臓器移植外科) |
抄録 |
【背景】大腸癌肝転移に対して根治のチャンスを見いだせる唯一の治療選択は外科的切除である.一方で,肝切後の再発高リスクは重要な問題である.手術成績をより向上させるためには補助化学療法の開発が不可欠であるが,真にsurvival benefitを示したエビデンスは皆無であり,その有用性に対する一定の解釈は得られていない【目的】当教室におけるこれまでの治療成績を示し,術後補助化学療法の意義と肝切後再発イベントの解釈について言及したい.【対象と方法】1994年10月から2011年10月までの17年間で,up-frontに根治的な肝切除が可能であった大腸癌肝転移422例のうち第3相LVUFT試験(UMIN-CTR: C000000013)登録患者を除外した371例を対象とし,surgery alone (S) 群291例と術後補助化学療法(CT) 群80例について,患者背景,無病生存期間 (DFS),全生存期間 (OS),再発率,repeat resection率を解析した.【結果】S群 vs CT群について,患者背景ではCT群で同時性が多い以外には群間でインバランスなし.フォローアップ中央値は5.4年で,DFS中央値:0.68年 vs 0.77年,3年-DFS:25.0% vs 18.6% (P=0.5634, HR:1.08).OS中央値:5.05年 vs 8.16年,5年-OS:49.7% vs 68.9% (P=0.0365, HR:0.70). 再発率:74.9% vs 80.0% (P=0.35).repeat resection率:51.4% vs 65.6% (P=0.04).【結語】CT群は,S群と比較して有意にOSの延長を示した.術後補助化学療法によって,DFSの改善や再発イベントの抑制は得られないものの,肝切後に再発をしてもrepeat resectionのチャンスが有意に増えることでsurvival benefitをもたらした.再発のresectabilityの標準化は困難であるが,術後補助化学療法の有用性を検証するうえで,OSのサロゲートとなるエンドポイントの再考が必要と考える. |
索引用語 |
大腸癌肝転移, 補助化学療法 |