セッション情報 | パネルディスカッション14(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)大腸癌肝転移に対する集学的治療の標準化へ向けて |
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タイトル | 外PD14-3:切除可能同時性肝転移に対する治療戦略としての肝切除前化学療法 |
演者 | 中川 圭(東北大大学院・統合がん治療外科学DELIMITER宮城肝胆膵癌化学療法研究会(Miyagi HBPCOG)) |
共同演者 | 片寄 友(東北大大学院・統合がん治療外科学DELIMITER宮城肝胆膵癌化学療法研究会(Miyagi HBPCOG)), 海野 倫明(東北大大学院・統合がん治療外科学DELIMITER東北大大学院・消化器外科学DELIMITER宮城肝胆膵癌化学療法研究会(Miyagi HBPCOG)) |
抄録 | 【背景】大腸癌肝転移症例は予後不良であるが,新規抗癌剤・分子標的薬の出現で治療成績は向上し,肝切除後の5年生存率は約40%と言われている.しかしながら,外科切除・化学療法の至適な組み合わせによる集学的治療戦略は未だ確立されずにいる. 【方法】我々は大腸癌肝転移に対する手術療法と化学療法の有用なcombinationを探索すべく,2006年から多施設共同で臨床試験を進めてきた.転移個数個数10個までの切除可能大腸癌同時性肝転移症例に原発巣切除後,肝切除に対する術前補助化学療法を施行する第二相臨床試験(UMIN000001568)もその一つである.本試験のプロトコールは原発巣根治切除後にmFOLFOX6+BVを 8サイクル(第1および第8サイクルはmFOLFOX6のみ)施行し,化学療法終了から4-8週で肝切除を施行するもので,主要評価項目を肝転移巣の奏功率とし47例を登録した. 【結果】登録症例の平均肝転移個数は3.1個(ITT)で,3例が化学療法の導入以前に逸脱となり34例(77%;FAS)が術前化学療法を完遂した.逸脱例を除く44症例(FAS)で化学療法は平均6.9サイクル,99日で施行された.21症例(48%,FAS)でGrade3以上の有害事象を認めた.RECISTでCR/PRを得た症例は31例(70%,FAS)と高い奏功を示した.肝切除は40例(91%,FAS)で施行され39例(89%,FAS)はR0切除され,標的病変144個のうち2病変でpCRが確認された.2年の追跡を終え,2年生存率は88.4%(FAS),肝切除を施行した40例の2年無増悪生存は27.3%であった. 【結論】本試験で肝切除前化学療法がdose intensityを確保し,転移個数10個までの切除可能肝転移巣において高い奏功を得る事が示された.pCRも確認されている事から画像検出不能な微少病変制御も期待される.同時性肝転移症例では化学療法のみが選択される場合もあるが,本試験は原発巣切除後の化学療法施行とその後の肝切除が,根治を含めた良い病勢制御を得る治療戦略である事を示した. |
索引用語 | 大腸癌, 肝転移 |