セッション情報 |
パネルディスカッション14(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)
大腸癌肝転移に対する集学的治療の標準化へ向けて
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タイトル |
消PD14-5:大腸癌肝転移例に対する肝切除と化学療法剤分子標的薬の併用の意義
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演者 |
吉留 博之(千葉大大学院・臓器制御外科学) |
共同演者 |
清水 宏明(千葉大大学院・臓器制御外科学), 宮崎 勝(千葉大大学院・臓器制御外科学) |
抄録 |
【目的】新規抗癌剤・分子標的薬の進歩により切除不能例では肝切除の適応が拡大され,切除可能例では予後の向上のためのレジメや投与期間を明確にする必要がある.また肝外転移併存などより進行した症例への治療戦略も新たな展開が必要である.また補助療法の適応についても検討が必要である.【方法】大腸癌肝転移肝切除411例を対象.技術的切除不能は3肝静脈浸潤・両葉グリソン浸潤とし,切除困難は両葉多発のため残肝量不足・肝外転移併存とし56例にconversion therapyを施行した.【結果と考察】多変量解析にて同時性転移・原発巣のリンパ節転移陽性(pN2以上)・肝外転移併存・腫瘍個数両葉5個以上・R2切除が予後不良因子であった.切除不能例ではFOLFOXにCmabまたはBmabを投与し,60%がconversion可能となった.conversion therapy後8週時点のCTで20%以上の縮小を認めた肝切除施行例は有意に予後良好であった(95%CI 1797-2917日).Bulkyな転移例では抗EGFR薬の早期縮小が有効であり,3 cm以下の両葉多発切除困難例でBmab併用時に2 cm以下の病変にCRを認めた症例では予後の延長を認めた.6ヶ月以上の術前投与例での拡大右肝切除は肝再生が不良な傾向を認めた.肺切除例で同時性転移は21例で原発巣を含めた3臓器同時は10例で,肺転移は最大4回まで切除を施行し切除後5生率は62%・生存中央値78ヶ月で,多変量解析で同時性肺転移と術前CEA値が抽出された.原発巣を含めた3臓器担癌例では段階的に薬剤を投与し切除した群は全例生存中である.切除標本でCXCR4/SDF-1の発現パターンから再発危険群では補助療法が必要であった.【結語】切除不能大腸癌肝転移例では早期縮小効果のある抗EGFR抗体薬を併施し,切除困難・5個以上の切除可能例でpN2以上例では微小肝転移を考慮したレジメンが必要であると考えられた.肺転移併存例では薬剤を併施した多段階切除が有効であった.補助療法の適応症例の選択にはCXCR4/SDF-1の発現などの検討も有効と考えられた. |
索引用語 |
新規抗癌剤, 肝切除 |