セッション情報 |
パネルディスカッション14(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)
大腸癌肝転移に対する集学的治療の標準化へ向けて
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タイトル |
外PD14-6:大腸癌肝転移症例に対する化学療法と至適手術タイミング
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演者 |
坂本 快郎(熊本大大学院・消化器外科学DELIMITER熊本大附属病院・消化器癌集学的治療学) |
共同演者 |
別府 透(熊本大大学院・消化器外科学DELIMITER熊本大附属病院・消化器癌集学的治療学), 馬場 秀夫(熊本大大学院・消化器外科学) |
抄録 |
【はじめに】大腸癌肝転移において,肝切除術は根治を得られる唯一の治療法である.さらに新規抗癌剤および分子標的治療薬の登場により,大腸癌肝転移の治療戦略は変わりつつある.【目的】大腸癌肝転移症例に対する術前・術後補助化学療法の有用性および予後予測因子について検討した.【対象】2005年4月から2012年12月までの大腸癌肝転移に対する初回肝切除113症例を対象として解析した.【結果】年齢中央値は64歳,男性72例,女性41例であった.原発巣は結腸71例,直腸44例であった.オキサリプラチンベースの術前化学療法が65例に,術後化学療法を57例に施行され,うち32例は術前後とも施行されていた.一方,23例には化学療法は行われていなかった.肝切除前における平均最大腫瘍径は35.6mm,平均転移個数は3個であった.手術時間中央値は409 (111-791)分,出血量中央値は300 (15-2016)mlで,4例に輸血が施行されていた.肝切除前のCEA高値例は86例,術前CA19-9高値例は33例であった.平均観察期間は31ヶ月で,1年・3年・5年無病生存率(DFS)はそれぞれ45.8%,35.2%,23.4%,1年・3年・5年全生存率(OS)はそれぞれ92.6%,77.4%,64.4%であった.再発予測因子として肝切除術前CEA高値(p=0.045)が,予後予測因子として肝切除前のCA19-9(p=0.004)が抽出された.さらに,術前化学療法を施行した症例に限って検討したところ,化学療法前のCEA値では有意差は認められなかったが,化学療法後・肝切除術前のCEA正常範囲群において有意にDFSが良好で(p=0.017),CA19-9正常範囲群において有意にOSが良好であった(p=0.025).【結語】CA19-9は予後予測に有用であり,CEAは肝切除を行う至適なタイミングの指標となり得ると考えられた. |
索引用語 |
大腸癌, 肝転移 |