セッション情報 パネルディスカッション14(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)

大腸癌肝転移に対する集学的治療の標準化へ向けて

タイトル 外PD14-7:

大腸癌肝転移に対する集学的治療戦略

演者 井上 由佳(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学)
共同演者
抄録 【はじめに】大腸癌肝転移に対する切除術は唯一の根治療法である.抗EGFR抗体の出現によりconversion therapyもしばしば経験するようになってきた.今回我々は,大腸癌肝転移切除症例の成績を解析し,その治療戦略を検討した.【対象】2000~2011年に大腸癌肝転移に対し肝切除を行い,予後の明らかな46例につき検討した.【結果】男/女:20/26例,平均年齢:64.0歳 (39~84歳),同時性/異時性:30/16例,切除病変の平均腫瘍個数は2個 (1~8個),最大腫瘍径は平均3.5cm(0.7~11.3cm)であった.術前化学療法は20例に施行した.肝切除症例の平均生存期間は95.5ヶ月,3年生存率は66.5%,5年生存率は58.4%であった.肝切除後再発は24例(52%)に認め,3年無再発生存率は42.5%であった.予後因子として,術前化学療法(NAC)の有無,原発巣のリンパ節転移,深達度,肝転移個数,最大腫瘍径,ly因子,v因子,CEAにつきそれぞれ解析を行ったところ,原発巣のリンパ節転移のみに有意差を認めた(P=0.02).また,Cetuximab(Cmab)を抗癌剤と併用しNACを行った4症例では,全例PRと高い腫瘍縮小効果を得た.さらに,4回の肝切除を含めた集学的治療により根治せしめたH3症例も経験した.症例の摘出標本ではCmab非使用症例と比して癌周囲への著明なリンパ球浸潤を認め,Cmabの抗腫瘍機序としてADCCの関与が示唆された.【考察・結語】大腸癌肝転移切除症例の予後は,肝転移個数や腫瘍径等に関連はなく,原発巣のリンパ節転移のみに関連を認めた.このことから,肝転移巣は積極的に切除し,また原発巣では確実なD3郭清を行うことの重要性を再認識した.また,術前Cmab使用症例では高い奏効率と腫瘍縮小効果が得られ,免疫学的効果発現機序も示唆された.このため,KRAS野生型肝転移症例ではCmabを積極的に使用していく方針である.
索引用語 大腸癌肝転移, 集学的治療