セッション情報 |
パネルディスカッション14(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)
大腸癌肝転移に対する集学的治療の標準化へ向けて
|
タイトル |
外PD14-8:大腸癌肝転移に対する術前化学療法と完全鏡視下同時切除術の臨床的意義に関する検討
|
演者 |
安藤 幸滋(九州大・消化器総合外科) |
共同演者 |
沖 英次(九州大・消化器総合外科), 前原 喜彦(九州大・消化器総合外科) |
抄録 |
【背景】初診時に切除が最適でない大腸癌肝転移でも,化学療法により切除可能となる症例が増加してきた.このため外科領域では化学療法後のコンバージョン手術が議論になることが多いが,その手術法の検討は少ない.【目的】コンバージョン目的で行われた大腸癌肝転移に対する術前化学療法,および同時性肝転移症例に対する完全鏡視下同時切除術の安全性と有用性を明らかにする.【対象・方法】検討1:2004-2011年に,術前化学療法後に切除を行った大腸癌肝転移症例19例(H1:8例,H2:9例,H3:2例)を対象とし,治療効果を評価した.検討2:2008-2012年の大腸癌肝転移症例のうち,完全鏡視下大腸癌・肝転移巣同時切除術を行った9例を対象とし,治療成績を検討した.【結果】検討1:使用薬剤はmFOLFOX6:2例,mFOLFOX6+Bevacizumab(Bmab):6例,XELOX:2例,XELOX+Bmab:2例,FOLFIRI:1例,FOLFIRI+Cetuximab(Cmab):2例,IRIS+Cmab:2例,SOX+Cmab:2例であり,奏功度はPR:13例,SD:6例,PD:0例であった.病理学的奏功率はGrade1a:8例,Grade1b-2:11例であり,分子標的薬非使用群ではGrade1a / Grade1b-2が3例 / 2例であったのに対し,分子標的薬使用群では5例 / 9例であった.R0手術はH1:8例,H2:4例の12例(63%)に施行された.検討2:平均出血量は585g,平均手術時間は586分,平均在院日数は12日(10-45日),術後合併症として肝膿瘍を1例に認めたが保存的に治癒した.9例中2例は術前化学療法としてmFOLFOX6+BmabおよびSOX+Cmabを投与したが,いずれも肝転移巣がPRとなり切除範囲の縮小が可能となり,手術後それぞれ10日,15日で退院となった.【まとめ】大腸癌肝転移症例に対して,分子標的薬を加えた積極的な術前化学療法が有用と考えられた.また,完全鏡視下同時切除術は,集学的治療における外科的治療の選択肢になりうる. |
索引用語 |
大腸癌, 肝転移 |