セッション情報 |
パネルディスカッション14(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)
大腸癌肝転移に対する集学的治療の標準化へ向けて
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タイトル |
外PD14-9:大腸癌同時生肝転移例に於ける肝切除前化学療法の検討
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演者 |
小寺 由人(東京女子医大・消化器外科) |
共同演者 |
片桐 聡(東京女子医大・消化器外科), 山本 雅一(東京女子医大・消化器外科) |
抄録 |
大腸癌同時性肝転移症例に対する肝切除前化学療法(肝切前化療)の有用性は新規抗癌剤登場後に報告されるようになった.今回教室にて経験した肝切前化療症例の抗腫瘍効果から肝切除の適応と時期を検討した.(対象と方法)2005年1月から2012年6月までに肝切前化療を施行した二期切除群25例(二期群)と同時期に化療を施行しなかった同時切除群群23例(同時群).二期群25例において,化療の効果として結節毎に,腫瘍径縮小率及び腫瘍マーカーの変化率を検討.これら効果と再発率,無再発期間から肝切除の時期と適応を検討した.また二期群と同時群の無再発生存期間を比較し肝切前化療の有効性を検討した(結果)二期群25例,75結節の平均腫瘍径・個数は20.5mm,2.92個.同時群23例,44結節の平均腫瘍径・個数は30.5mm,1.9個であった.化学療法後の腫瘍径の平均変化率は93.0%であった.また化療前後の腫瘍マーカ-(CEA)変化率は101.4%であった.6コースの肝切前化療後に,腫瘍径及び腫瘍マーカ-ともに上昇した5例(増悪群)といずれか一方が増悪した6例(有効群)に無再発は認めなかったが,いずれも低下した14例(著効群)の72%は無再発であった.ただし有効群と著効群の再発症例中にはCRと判断され遺残再発の形での再発を5例認めた.著効群・有効群・増悪群と同時群の無再発生存期間中央値は,565日・293日・152日・339日で有効群では有意に無再発生存期間の延長を認めた.(p=0.03)(結語)肝切除前化療後の腫瘍径及び腫瘍マーカーの低下例は56%にみられ,再発率が低い傾向がみられた.一方で化療の反応の悪い例は44%にみられ,再発率は化療未施行例と差を認めなかった.ただし,再発形式としてCR後遺残例も含まれており,各種画像検査においてCRを得ても切除を第一に検討する必要があると考えられた. |
索引用語 |
転移性肝癌, NAC |