セッション情報 |
パネルディスカッション14(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)
大腸癌肝転移に対する集学的治療の標準化へ向けて
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タイトル |
外PD14-11:大腸癌肝転移切除例における術前化学療法に関連した脾容積増大と予後への影響
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演者 |
中野 浩(聖マリアンナ医大・消化器・一般外科) |
共同演者 |
片山 真史(聖マリアンナ医大・消化器・一般外科), 大坪 毅人(聖マリアンナ医大・消化器・一般外科) |
抄録 |
【目的】大腸癌肝転移における術前化学療法の予後に関する有用性と,関連肝障害による有害性との問題は未だ解決されておらず,ごく最近のassociating liver partition and portal vein ligation for staged hepatectomy (ALPPS)の報告においても,関連肝障害の危険性が示唆されている.また,中等症以上の関連肝障害例では肝切除後の予後が不良であるとの報告もある.今回我々は,術前化学療法に関連した脾容積増大比率 (SVI)と肝切除後の予後との関連性を検討した.【方法】2007年1月以降に当院にて術前化学療法(FOLFOX系抗癌剤33例,FOLFIRI3例)を施行したのちに肝切除を施行した大腸癌肝転移症例を対象に,予後を検討した.化学療法施行前と施行12週後にCT volumetryで脾容積を測定し,SVIを算出した.ROC曲線解析より,SVIを30%にて2群に分類した.【成績】術前化学療法施行例は36例であった.Bevacizumab (BV)併用例のうち,XELOX+BVには脾容積増大抑制効果は認められず,FOLFOX+BV症例で抑制効果が見られた.臨床的partial responseは,SVI≧30%群はSVI<30%群に比して有意に低率であった(18% vs. 60%, p<0.05).Grade 3以上の化学療法中の副作用は,SVI≧30%群で有意に高率であった (p<0.05).肝切除後の5年生存率は,SVI≧30%群で28%,SVI<30%群で52%であり,有意にSVI≧30%群で予後不良であった (p<0.05).disease free survival, survival after recurrenceも有意にSVI≧30%群で不良であった (p<0.05).【結論】術前化学療法12週間の脾容積増大比率が30%以上の肝切除例は,survival after recurrenceがより短期間である可能性があり,脾容積増大が抑制できる可能性があるBVを用いた術後補助療法を積極的に行う必要性が示唆された.また,脾容積増大比率が30%以上となった場合には,術前化学療法施行に関して再検討が必要と考えられた. |
索引用語 |
大腸癌肝転移, 術前化学療法 |