セッション情報 パネルディスカッション15(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

進行膵癌に対する集学的治療の標準化に向けて

タイトル 消PD15-2:

cStageIVa膵癌に対する放射線化学療法,動注化学療法,全身化学療法の治療成績

演者 小野 道洋(札幌医大・4内科)
共同演者 石渡 裕俊(札幌医大・4内科), 林 毅(札幌医大・4内科)
抄録 【背景】膵癌は予後不良な疾患で,各治療を組み合わせた戦略が重要となる.現在まで多くの集学的治療の報告がなされているが,その内容はまだ確立していない.
【目的】cStageIVa膵癌に対する治療成績を検討する.
【方法】2012年9月までに当院で診断・治療した膵癌患者のうち,cStageIVa膵癌と診断した155例(年齢中央値70.0歳(37-89),男78例,女77例)を対象とし,1.初回治療内容(手術,化学放射線療法 (CRT),動注化学療法(AC),全身化学療法(SC))別の全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS),2. Resectable(R)群,Borderline resectable(BR)群,Unresectable(UR)群における治療内容別OSとPFS,3.初回に非手術治療を行い,後に切除した症例の治療成績について解析した.
【結果】1.治療別のOS中央値(MST)は手術(n=63)/CRT(n=33)/AC(n=23)/SC(n=30);21.7/17.7/15.6/11.0月で,手術がAC,SCに対して有意に良好であった.PFS中央値はCRT/AC/SC;11.0/7.2/5.5月で,CRTがAC,SCに対して有意に良好であった.2.R群/BR群/UR群の内訳は35/51/69例で,MSTは17.1/18.6/16.3月で有意差を認めなかった.BR群のMSTは手術(n=28)/CRT(n=8)/AC(n=8)/SC(n=6);25.2/15.7/14.3/10.3月で,手術群がAC,SCより有意に良好であった.PFSはCRT/AC/SC;11.0/5.4/4.2月で,有意差はないもののCRTで良好な傾向であった.UR群のMSTは,CRT(n=25)/AC(n=15)/SC(n=24);17.7/16.3/11.0月,PFSはCRT/AC/SC;9.7/9.3/5.8月で,OS,PFS共にCRTがSCより有意に良好であった.3.初回に非手術治療を行った92例のうち,治療後に手術に至ったのは8例(8.7%)で,MSTは20.1月と良好な傾向であった.前治療はCRT7例,AC+CRT1例であり,術後病理の検討ではdown stagingされた症例は2例(25%)であった.
【結語】cStageIVa膵癌では,手術が良好な結果であった.BR群においても切除可能症例であれば手術が良好な結果であり,切除不能症例ではCRTが良好な結果であった.また,Neoadjuvantとしては,CRTが有用である可能性が示唆された.
索引用語 膵癌, 治療成績