セッション情報 パネルディスカッション15(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

進行膵癌に対する集学的治療の標準化に向けて

タイトル 消PD15-8:

切除不能進行膵癌に対するGEM+erlotinib併用化学療法における,皮疹の治療効果予測因子としての検討 ~当院での治療成績とメタアナリシス~

演者 今岡 大(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科)
共同演者 水野 伸匡(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 山雄 健次(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科)
抄録 <背景>切除不能進行膵癌に対する膵癌に対するgemcitabine(GEM)とerlotinibの併用化学療法において,皮疹が有望な治療効果予測因子である可能性がいくつかの報告により示されている.そこで我々は皮疹とGEM+erlotinib併用化学療法の治療効果の関連性について,当院での治療成績と文献報告に基づいたメタアナリシスを実施した.<方法>2011年8月より2012年8月の間に当院にてGEM+erlotinib併用化学療法が行われた切除不能進行膵癌20例を対象に,皮疹と治療効果の関連について検討した.またメタアナリシスに際してはMEDLINEのデータベースをもとに2名の研究者がそれぞれ別々に文献を抽出し要約を行った.<結果>当院におけるGEM+erlotinib群における全生存期間(OS)中央値は9.7ヶ月,対するGEM単独治療群では8.9ヶ月であった.GEM+erlotinib群では35%にGrade 2以上の皮疹が認められ,それらの群におけるOS中央値は14.2ヶ月,Grade 2未満の皮疹出現群に対する死亡の相対リスク比は0.10であった(95%信頼区間; 0.01-0.86).病勢コントロール率(DCR)および奏功率(RR)はそれぞれ,Grade 2以上の皮疹群で100%と0%,Grade 2未満の皮疹群では53.8%と7.6%であった.データベースより得られた関連文献210件のうち,組み入れ基準に合致した3件の文献と我々の検討をもとに,DCRおよびRRについて統合解析を行った結果,Grade 2以上の皮疹出現群のGrade 2未満の皮疹出現群に対するDCRの相対リスク比は1.75(95%信頼区間; 0.99-3.10),RRの相対リスク比は1.84(95%信頼区間; 1.04-3.25)であった.すなわち,GEM+erlotinib併用化学療法においてGrade 2以上の皮疹が出現した群ではRRの上昇が認められた.<結論>皮疹は切除不能進行膵癌におけるGEM+erlotinib併用化学療法の治療効果を予測するうえで有望な因子である.皮疹の出現に注視することによって,erlotinib投与により利益を享受できる患者の予測が可能となる可能性がある.
索引用語 膵癌, メタアナリシス