セッション情報 |
パネルディスカッション15(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
進行膵癌に対する集学的治療の標準化に向けて
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タイトル |
消PD15-9:膵癌術後肝転移に対するGemcitabine肝動注を中心とした集学的治療の検討
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演者 |
田島 秀浩(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科) |
共同演者 |
北川 裕久(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 太田 哲生(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科) |
抄録 |
近年,当科では膵癌術後肝転移症例に対してGemcitabine (GEM)を中心とした動注化学療法を行っている.膵癌根治手術後肝転移9例を対象とし,GEM 800mg/標準肝容積 (SLV)をday1に30分かけて動注した.併用薬剤については5-FU併用群(6例)は GEM動注に続いて250mgを24hr持続で5日間動注することを1コースとし,S-1併用群(3例)ではGEM動注に先行してS-1 60mg/m2を1週間内服してGEMを動注した.化学療法はbiweeklyで行い,10コースを目標に治療を行った.また,別に臨床試験として胆道癌も含めた初回のGEM肝動注投与症例について末梢血中のGEM濃度を測定した.9例の背景は男性5例,女性4例,平均年齢は65.9歳,原発部位は膵頭部4例,体尾部5例で,原発巣手術から肝転移出現までの期間は平均7.2カ月であった.有害事象は骨髄抑制を5例に認めたが,カテーテルトラブルにより8コースで終了した1例を除いて中断なく10コースの化学療法が可能であり,8例に病勢制御効果(PR 1例,SD 6例)が得られ,うち1例はRFAを追加することでCRとなった.病勢制御期間は平均9.2カ月であり,治療開始後の生存期間中央値は19.2カ月であった.9例中6例にカテーテルの変位や動脈閉塞を認めて最終的にチューブを抜去したが,重篤な合併症は認めず,GEMの肝動注は平均17.7回(8~40回)可能であった.また,肝動注後末梢血中のGEM濃度を測定した10症例における血中濃度の解析では400mg~800mg/SLVの投与では抹消血濃度は静脈投与の約10分の1以下であったが,1000mg/SLVでは末梢血中の濃度は同量を静脈内投与した濃度とほぼ同じであった.膵癌術後の肝転移に限局した再発症例に対して肝動注化学療法は有効な治療と考えられた.また,肝の局所療法としては800mg/SLVが至適投与量であると考えられた. |
索引用語 |
膵癌肝転移, 肝動注化学療法 |