セッション情報 |
パネルディスカッション16(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
進行胆道癌に対する集学的治療の標準化に向けて
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タイトル |
PD16-基調講演2:進行胆道癌の集学的治療の標準化
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演者 |
村上 義昭(広島大大学院・外科学) |
共同演者 |
上村 健一郎(広島大大学院・外科学), 首藤 毅(広島大大学院・外科学) |
抄録 |
(目的)胆道癌は欧米に比べ本邦で発症率が高く,本邦からの胆道癌集学的治療のevidenceの発信が期待される.胆道癌集学的治療の現状と問題点について報告する.(胆道癌集学的治療の現状)切除不能胆道癌に対しては無作為比較試験(RCT)によりGemcitabine+CDDP(GC)療法が標準療法として推奨されているが,本邦ではGC療法とGemcitabine+S-1(GS)療法のRCTが計画中である.術後療法については現時点では推奨できるregimenはないが,現在,手術単独とGemcitabine単剤(BCAT試験),Capecitabine単剤とを比較するRCTが進行中である.今後は,S-1単剤,GC療法,GS療法などを用いた術後療法のRCTによる検証が必要である.術前療法に関するRCTは存在しない.(胆道癌集学的治療RCTの問題点)術後治療においては,倫理面から考慮すると手術単独をコントロールアームとするのは問題がある.適応としては胆道癌取扱い規約stageII(UICCstageIB)以上が適応となる.胆道癌の少ない症例数を考慮すると,肝内胆管癌,肝外胆管癌,胆嚢癌,十二指腸乳頭部癌のすべてを含めた検討が妥当と考える.抗癌剤の投与量も拡大肝葉切除,膵頭十二指腸切除などの過大侵襲を伴う胆道癌術後症例に対しては減量が必要である.術前治療に関しては放射線照射も含めた検討が必要かもしれない.(当科での術後治療の成績)当科ではUICCstageII以上の胆道癌切除症例80例を対象に術後GS療法を施行してきた.術後GS療法非施行症例105例との比較では,術後GS療法施行症例は非施行症例に比べ有意に(p<0.001)生存率が良好であり(5年生存率,47%vs17%),全185例の検討では,術後GS療法施行は独立した有意な(p<0.001)予後規定因子であった.GS療法は胆道癌術後療法の有力なregimenの1つと考えられる.(結語)進行胆道癌外科治療の標準化においては,多施設共同無作為比較試験により,標準的術後補助療法の確立を目指し,その後に術前療法についても検討すべきである. |
索引用語 |
進行胆道癌, 術前術後治療 |