セッション情報 パネルディスカッション16(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

進行胆道癌に対する集学的治療の標準化に向けて

タイトル 外PD16-2指:

当科における局所進行胆道がん集学的治療におけるジェムザールの役割

演者 水口 義昭(日本医大・外科)
共同演者 谷合 信彦(日本医大・外科), 内田 英二(日本医大・外科)
抄録 【目的】胆道癌術後化学療法について,当科における進行胆道癌に対する治療戦略を述べる.【方法・対象】1)肝内胆管癌: 当科にて切除された46例を対象とし,再発症例10例に対して投与したGEMの治療効果,累積生存率を検討した.2)肝外胆道癌(肝外胆管癌+胆嚢癌):当科にて切除された105例の内StageIII以上の81例を対象とし,GEMによる術後化学療法を施行した12例の予後への効果を検討した.【結果】1) 肝内胆管癌:対象46例は平均66.8歳(49-86), 男:女 24:22, 腫瘤形成型 28例,胆管浸潤型16例,胆管内発育型2例であり,腫瘍の存在部位により肝切除+リンパ節郭清を施行していた.この内術後再発を認めた10例(腫瘤形成型6例,胆管浸潤型4例,平均再発期間19.6ヶ月(1-86))に対してGEM(1000mg/m2,3週投与-1週休薬を原則)を投与し,奏功率(CR+PR)10 %で累積生存率は1年で70%,3年で46.7%であり,姑息的治療(胆道ドレナージなど)を施行した群と比べ有意に予後を延長させていた.2)肝外胆管癌: 対象81例は平均70歳 (47-86), 男:女 63:36, 腫瘍主座Br/l:GB:Bs:Bm:Bi 22:17:6:7:29で,手術術式は胆嚢癌,肝門部を含む上部胆管癌では肝切除+肝外胆管切除+リンパ節郭清を,下部胆管癌では膵頭十二指腸切除術(PD)を施行していた.また,最近ではより低侵襲な腹腔鏡補助下PDを導入した.術後補助化学療法としてGEM(1000mg/m2,3週投与-1週休薬を原則)を投与している症例は12例(肝門部胆管癌5例,総胆管癌5例,胆嚢癌2例)であった.GEM施行群(観察期間3-22ヶ月)の現在までの治療成績は,術後平均無再発生存期間347日(95%CI 218-477日),平均生存期間502日(95%CI 330-674日)であり,GEM非投与群との間に有意差を認めなかった.【結語】1)肝内胆管癌術後再発症例に対するGEM単独投与は奏功率が低いものの,予後の改善に寄与する可能性が示唆された.また,手術+GEMによる術後補助化学療法は現在までのところ予後改善への証明がなされなかったが,更なる症例の蓄積,観察期間の延長が必要と考えられた.
索引用語 進行胆道がん, ジェムザール