セッション情報 パネルディスカッション16(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

進行胆道癌に対する集学的治療の標準化に向けて

タイトル 外PD16-7:

切除不能の上部・肝門部胆管癌に対する化学放射線治療の治療効果

演者 前村 公成(鹿児島大大学院・消化器・乳腺甲状腺外科学)
共同演者 新地 洋之(鹿児島大・保健学科), 夏越 祥次(鹿児島大大学院・消化器・乳腺甲状腺外科学)
抄録 【目的】当科にて経験した切除不能症例を含めた上部・肝門部胆管癌の治療成績について検討した.【方法】当科の治療方針は治癒切除の場合,リンパ節転移陽性症例に対しゲムシタビン(GEM)術後補助療法を行い,非治癒切除例には術後の化学放射線治療(CRT)を付加する.非切除症例に対してはCRTを第一選択とした.放射線治療は外照射50~60Gyまたは外照射30Gy +胆管腔内照射20Gy とし,5-FU持続投与またはGEMを併用した.対象は1996年1月以後の当科入院となった上部・肝門部胆管癌99例で,男女比が4.2:1,平均年齢67歳(44~82歳)であった.切除32例,非切除67例で,非切除例の治療法内訳は,CRT群44例,化学療法単独群9例,BSC群14例であった.各治療群の累積生存率をKaplan Meier法にて比較した.【成績】切除群と非切除群の比較では,生存期間中央値(MST)はそれぞれ28カ月(1~142カ月)と13カ月(1.9~48.7カ月)で切除群が有意に良好であった.切除例において生存成績を癌遺残度R別に比較すると,R0およびR1切除群ほぼ同等であったが,R2切除群では有意に予後不良であった.非切除例の治療法別比較では,MSTがCRT群16カ月(2.4~487カ月),化学療法群13カ月(3.6~20.9カ月),BSC群6カ月(1.9~17.7カ月)でCRT群が他2群に比べ有意に予後良好であった.各群のメタリックステント累積開存率を比較するとCRT群がBSC群に比べ有意に良好であった.【結論】上部・肝門部胆管癌に対しては積極的に切除を追求すべきである.切除不能例の場合は,化学放射線療法が抗腫瘍効果による延命効果のみならず,ステント閉塞予防効果により良好なQOLが維持され,極めて有用な治療法と考えられた.今後TS-1などの併用により長期生存も期待できる.
索引用語 化学放射線療法, 切除不能胆道癌