抄録 |
【背景】切除不能・再発胆道癌に対する一次治療は,GEM+CDDP(GC)療法が標準と考えられるようになった.一方,二次治療については本邦ではS-1が用いられることが多く,第II相試験の報告がなされているが,実臨床における有用性は確立されていない.【目的】実臨床における,切除不能・再発胆道癌に対するS-1による二次治療の有用性を検討する.【方法】ECOG PS 0-2,および各臓器機能が保たれている場合に二次治療の適応とし,2007年9月から2012年12月までに当院にてS-1による二次化学療法を開始された切除不能・再発胆道癌患者66例を対象としてRetrospectiveに,その治療成績を検討した.患者背景についてはχ2乗検定,生存期間についてはLog-rank検定にて統計学的検討を行った.【結果】平均年齢66.9歳,男/女=39/27,ECOG PS 0/1/2=52/13/1,原発巣;肝内胆管/肝外胆管/胆嚢/乳頭部=20/12/33/1,切除不能/再発=55/11,UICC stage II-III/IV=20/46,治療前CEA中央値5.5・CA19-9中央値137.2,一次治療GC/GEM単独=19/47であった.S-1による二次治療は,奏効率(RR)4.0%・病勢コントロール率(DCR)59.2%,2次治療のPFS=2.3か月・OS=5.9か月であった.単変量解析では,一次治療の最良効果=PDであった場合に,二次治療のPFSが短い傾向が覗われた(p=0.062).なお,一次治療がGCの症例とGEM単独の症例とでは,患者背景に有意差は認めず,二次治療S-1のPFS・OS・DCRのいずれにも有意差を認めなかった.【考察】一次治療にGCを用いるようになって以後も,二次治療S-1の有用性は変わっていないと考えられた.また,生物学的悪性度の高い腫瘍に対しては,薬剤変更しても奏効は得られにくいものと考えられた.【結語】PFS中央値は2ヶ月余りと十分な成績ではなく,実臨床の治療成績は第二相試験に劣る結果であったが,DCRは低くなく,S-1は二次治療として考慮すべき選択肢であると考えられた. |