セッション情報 ワークショップ1(消化器がん検診学会・肝臓学会合同)

超音波検診の目指すべきもの

タイトル 検W1-2指:

腹部超音波がん検診の成果と事後管理の重要性

演者 三原 修一(みはらライフケアクリニック)
共同演者 大竹 宏治(日本赤十字社熊本健康管理センター)
抄録 1983年度から2007年度までの腹部超音波検診(人間ドック,集団検診)受診者数は延べ1,703,350人(実質387,725人)で,肝細胞癌393例,胆嚢癌165例,胆管癌58例,膵臓癌151例,腎細胞癌389例,膀胱癌178例など,1,678例(対延べ受診者発見率0.10%)の悪性疾患が発見された.肝胆膵腎癌および膀胱癌の切除例(率)はそれぞれ87例(22.1%),149例(90.3%),79例(52.3%),383例(98.5%),172例(96.6%)で,全体では白血病および転移性癌を除く1,569例中1,034例(65.9%)であった.また,切除例の10年生存率は,それぞれ44.9%,82.2%,39.4%(膵管癌では26.2%),97.4%,98.0%で,全体では82.0%(25年生存率は80.0%)であった.腎癌,膀胱癌,胆嚢癌の生存率は極めて良好であり,特にこれらのがんの早期発見に超音波検診は有用と思われた.また,肝癌では,治療法の進歩とともに長期生存例が増加しており,TACE・PEIT・RFA等による治療例の10年生存率も13.8%であった.膵管癌では,Stage 1の10年生存率は67.7%と良好であり,より小さな膵癌の発見が大きな課題である.さらに,精度の高い検診を行うには,徹底した事後管理が不可欠である.25年間の精検受診率は83.5%であったが,2009年度からは,癌が疑われる症例に関しては検診当日に医療機関に受診予約を行う医療連携システムを構築した.2011年度までの3年間の要精検者数は183例,精検受診者数181例(受診率98.9%)で,84例(精検受診者の46.4%)の悪性疾患が発見された.超音波検診は,がん検診として有用であるが,その評価を高めていくためには精度の高い事後管理システムを構築する必要がある.
索引用語 腹部超音波検診, 事後管理