セッション情報 ワークショップ1(消化器がん検診学会・肝臓学会合同)

超音波検診の目指すべきもの

タイトル 検W1-5:

当施設における腹部超音波がん検診カテゴリー分類と事後指導の現状

演者 中河原 浩史(日本大・消化器肝臓内科DELIMITERみつわ台総合病院・内科)
共同演者 小川 眞広(日本大・消化器肝臓内科), 森山 光彦(日本大・消化器肝臓内科)
抄録 【目的】腹部超音波検診は,がんの早期発見に有用であることは言うまでもない.しかし,客観性の低さが問題であり,当学会でも検診基準やカテゴリー分類が発表され,今後の精度向上を図る方向性が示された.しかし事後指導は各施設の基準によるため,施設間で差がみられている.今回我々は,当施設の事後指導基準による要精検症例の逐年結果を用いて,当施設の要精検基準の現状と問題点について検討した.【方法】対象は2010年1年間に腹部超音波検診を行い要精検と判定され,翌年も超音波検診を受診した192症例とした.対象症例の保存画像を超音波学会専門医が再読影し,前年要精検となった項目に対してカテゴリー分類を行い,前年所見と比較検討した.精検を受けた症例については最終診断との検討も行った.【成績】カテゴリー1:44症例,カテゴリー2:56症例,カテゴリー3:58症例(3´:26症例含む),カテゴリー4:34症例(4´:19症例含む)であった.精検を受けた症例は107症例(55.7%)であり,腎癌2例を含む7症例が切除されていた.一方で,精検を受けたが異常所見を認めず,翌年カテゴリー1となった症例が22症例みられた.未精検であった85症例のうち,46症例は経過観察へと事後指導がレベルダウンしていた.【結論】逐年検診症例で精検を行っていない症例が多く含まれており,事後指導における精検受診率の改善が必要と考えられた.また要精検症例で未精検にもかかわらず,翌年の超音波検診でサイズなどに変化がなく経過観察となる症例も含まれており,年次変化も事後指導に必要な所見であると思われた.カテゴリー分類は事後指導と線結びではないため,各臓器毎の疾患特徴を反映した事後判定基準を導入することで,要精検率や精検受診率の改善が期待された.
索引用語 超音波検診, カテゴリー分類