セッション情報 ワークショップ1(消化器がん検診学会・肝臓学会合同)

超音波検診の目指すべきもの

タイトル 検W1-9:

2次検診施設における小膵癌に対しての超音波検査の果たす役割

演者 金森 明(大垣市民病院・消化器内科)
共同演者 熊田 卓(大垣市民病院・消化器内科), 桐山 勢生(大垣市民病院・消化器内科)
抄録 【目的】膵臓癌において,早期発見は最も重要な因子の一つと考えられる.近年になり画像診断法も発達してきたが,超音波検査(US)は簡便で非侵襲的であり第一に施行すべき検査法である.二次検査施設でのUSの果たすべき役割を検討した.【対象,方法】1996年以降に当院で診断された膵臓癌521例(男:女311:210)を対象とした.対象症例の診断時のUSの腫瘍および間接所見の指摘の頻度を検討した.また診断時より60日以上前にUSが行われた症例では膵管拡張の有無と膵嚢胞の有無を遡及的に検討した.【成績】521例のうち発見契機がUSの腫瘍指摘であったものは328例(63.0%)であった.このうち主膵菅拡張の所見(MPDD)は221例(67.4%),中央値は6.0mm(3-15mm)であった.嚢胞所見は29例(8.8%),中央値は20mm(7-78mm)であった.US施行歴を有する症例は125例(24.0%).以前よりMPDDを認めていたものは16例で,所見が指摘されてから膵癌と診断されるまでの期間(P1)は中央値で687.5日(82-2815日).嚢胞所見に関しては18例認め,所見指摘から診断までの期間(P2)は中央値で722.5日(63-2492日)であった.20mm以下の浸潤のない小膵癌(T1)症例は20例であった. (平均径13.0mm,8-19mm).検診で指摘されたものが4例(20%)を占めた.腫瘍の検出感度は(US:CT:EUS,65:70:94%)であり,EUSが優れていたが,USで84%に間接所見の拾い上げが可能であった.MPDDは18例(90.0%),嚢胞所見は6例(30.0%)にみられ,いずれの所見もみられないものは1例であった.間接所見の拾い上げは(US:CT:EUS 87:75:94%)とUSで良好な成績がみられた.遡及的検討では9例(45%)が以前よりUSを施行されており,6例に腫瘍発見前より間接所見が出現していた.嚢胞所見は4例にみられ,P2は2902.5日(929-3506日)であった.【結論】膵臓癌の診断においては高い診断能を有する機器での検査施行を行う契機として特にUSでの間接所見および有所見例での定期観察が重要と考えられた.
索引用語 膵臓癌, 超音波検査