セッション情報 |
ワークショップ2(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
急性肝不全の予後改善に向けた病態理解と治療の進歩
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タイトル |
肝W2-5:急性肝不全の新診断基準による早期治療介入と予後改善の可能性
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演者 |
山岸 由幸(慶應義塾大・消化器内科) |
共同演者 |
海老沼 浩利(慶應義塾大・消化器内科), 日比 紀文(慶應義塾大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】2011年に厚労省研究班より急性肝不全の新診断基準が発表された.今回,当院急性肝不全症例につき昏睡例(以下昏),非昏睡例(以下非)を含め解析し,新基準に伴う早期治療介入が疾患予後改善に寄与する可能性につき検討した.【方法】2000年以降の新診断基準に合致し解析可能であった急性肝不全87例を対象に病態,治療と転帰を解析した.また特に,予後不良因子の一つとされる肝委縮を伴う症例でのステロイドパルス治療(以下puls)の早期介入の効果につき検討した.肝委縮は診断時のCT肝容積(CTLV)と標準肝容積(SLV)の比(CTLV/SLV)0.8以下を肝委縮ありとした.【成績】87例中昏45例,非42例であった.人工肝補助は昏100%,非21%に,ステロイド治療は昏91%(puls 84%),非83%(puls 60%)で行われた.内科救命率は61%(昏40%,非83%),死亡率は18%(昏24%,非12%),移植は21%(昏36%,非5%)であった.肝委縮は全体の42.5%(37例)に,昏の53.3%,非でも31.0%に認めた(p=0.051).診断時CTLV/SLVは昏0.67±0.12,非0.73±0.08であった(p=0.08).肝委縮例の内科救命率は40.5%であり,委縮のない例(同76%)と比較して不良であった(p=0.002).肝委縮有の37例中,pulsについては84%(31例)に施行されていたが,内科救命例を予後良行群,死亡あるいは移植例を予後不良群とすると,施行有無で両群間に有意差はなかった(p=0.67).しかし,昏の脳症発症前と非にpulsを施行した18例を脳症前puls施行例とすると,昏の脳症発症後施行と未施行をあわせた19例と比較して予後良好であった(p=0.003).尚,それ以外には昏睡有無,PT%,MELD,CTLV/SLVで両群間に有意差を認め,多変量解析にてPT%が独立した因子として抽出された.【結論】肝委縮は急性肝不全の予後不良因子とされるが,脳症のない段階でpulsなど早期治療介入を検討することにより,内科的救命の可能性が増すことが示唆された.新診断基準はこのような症例の拾い上げにつながることが期待される. |
索引用語 |
急性肝不全, ステロイドパルス |